曳火

曱火（えいか）について

曳火は、砲弾が空中で爆発することによって、特に装甲を持たないターゲットに対して重大な損失を与えることを目的とする砲撃の形式です。この撃ち方は「曳火砲撃」や「曳火射撃」と呼ばれ、英語では「Air burst」として知られています。しかし、核兵器の空中爆発が「Air burst」となることはあっても、日本では曳火と呼ばれることはありません。

歴史的背景

曳火の起源は、第一次世界大戦に遡ります。戦争が進む中、歩兵が壕に籠って防御を固めると、従来の榴弾では効果が薄れることが分かりました。このため、時限信管を用いた曳火砲撃が用いられるようになりました。

次に、第二次世界大戦では対空戦に対抗するために近接信管が導入され、これが後に地上目標に対しても応用されることになりました。特にベトナム戦争の期間中には、基地防衛の一環として空中破裂砲弾が著しい効果を示しました。これは、105mmや155mmの砲弾を使った「キラージュニア」と、大口径の榴弾砲を使用した場合の「キラーシニア」として知られています。

また、第二次世界大戦中のドイツ製対人地雷S-マインは、地面の下から1.2メートルの高さで爆発し、そのために広範囲に渡る効果を持ち、殺傷力も高かったです。近代においても、VOG-25PやXM25、XM29、Mk47 ストライカーなどのエアバースト弾が利用されています。

曳火の特性

かつては、曳火専用に設計された榴散弾も存在しましたが、現在では通常の榴弾が使用されています。この「曳火」という用語は、火薬式の時限信管を使用していた時代に生まれ、機械式信管や近接信管においてもその名称が引き継がれています。

一般的な砲撃との違い

一般的な砲撃では、地面に衝突した瞬間に爆発し、そこから放出される破片が地面に吸収されます。この結果、目標に直撃した場合には高い威力を発揮するものの、非装甲目標に対する効果は制限されてしまいます。また、破片が上方向に飛ぶことが多く、敵が姿勢を低くしているとそのダメージは減少します。

一方、曳火砲撃では、砲弾が空中で炸裂し、多くの破片が目標の周囲に降り注ぎます。この場合、全ての破片が有効となるため、低姿勢を取る敵に対しても効果があります。特に、敵が塹壕に隠れている場合でも、上方からの破片によって損害を与えやすくなっています。

総括

このように、曳火は現代戦において重要な役割を果たす砲撃の一つであり、その効果的な使用方法は軍事戦略において広く認識されています。非装甲目標に対する威力を発揮するために設計された曳火砲撃は、状況によって柔軟に適用され、戦闘の戦略において不可欠な要素となっています。

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