更始 (西燕)

更始（こうし）は、中国の五胡十六国時代に、西燕の君主であった慕容沖（ぼよう ちゅう）が使用した元号です。その期間は385年正月（旧暦）から386年2月（旧暦）までと、わずか1年余りという短いものでした。

時代背景

五胡十六国時代は、西晋が滅亡した後、北方の異民族である五胡（匈奴、羯、鮮卑、氐、羌）が中国北部で多数の政権を樹立し、互いに争った激動の時代です。西燕もその一つであり、鮮卑族の慕容氏によって建てられました。

慕容沖は、前燕の皇帝であった慕容皝（ぼよう こう）の孫にあたり、幼い頃から美貌で知られていました。前秦の苻堅（ふ けん）によって前燕が滅ぼされた際、慕容沖は姉とともに苻堅の寵愛を受けましたが、後に反旗を翻し、西燕を建国しました。

更始の意味

「更始」という元号には、「新たに始める」という意味合いが込められています。慕容沖が西燕を建国し、新たな出発を切るという決意を示すものだったと考えられます。しかし、その治世は長くは続かず、慕容沖は部下の将軍に暗殺され、西燕もまた短命に終わりました。

西暦・干支との対照表

更始の期間と西暦、干支の対応は以下の通りです。

385年：乙酉（きのと とり）
386年：丙戌（ひのえ いぬ）

関連項目

他政権の更始：五胡十六国時代には、他の政権も「更始」という元号を使用しています。例えば、後趙の石勒（せき ろく）が330年に使用した元号も「更始」です。
元号一覧 (中国)：中国の元号制度に関する包括的な情報源です。

まとめ

元号「更始」は、短い期間ながらも、五胡十六国時代の激動と、西燕という政権の興亡を象徴するものでした。慕容沖の抱いた「新たな始まり」への願いは叶いませんでしたが、その元号は歴史に刻まれ、今に伝えられています。

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