書物奉行

書物奉行（しょもつぶぎょう）

書物奉行は、江戸幕府に設置された職名の一つであり、この職務は主に書籍の管理と収集を担っていました。寛永10年、1633年12月20日に設置され、通常は4名の奉行が任命されましたが、時には増減があり、最多で5名が在職していたこともあります。

職務内容と組織

書物奉行は若年寄の支配下にあり、役高として200俵、役扶持は7人扶持とされるなど、幕府内での重要な役割を果たしていました。具体的な業務としては、江戸城内にある紅葉山文庫の書籍の管理や、書物の収集、分類、整理、保存、そして調査を行いました。奉行の下には同心が配置され、彼らは持高勤めとして奉行を支えました。元禄6年（1694年）には4名の同心が定められ、その後も増員が続き、江戸後期には21名に達したと言われています。古くからの同心は、世話役を担うこともありました。

また、書物奉行の業務をサポートするために、塗師や蒔絵師も配属されていました。このように、書物奉行は単なる書籍の管理だけでなく、江戸の文化を維持・発展させるための重要な役割を果たしていたのです。

廃止と記録

書物奉行は、1866年の慶応2年に廃止されるまで、長い間江戸幕府の文化行政に貢献してきました。その職務の記録として重要なものが《御書物方日記》であり、この記録は宝永3年（1706年）から安政4年（1857年）までの全225巻に及び、当時の活動の詳細を知るための貴重な資料となっています。

実際の職員

安政3年（1856年）の段階では、書物奉行には石井内蔵允、中井太左衛門、島田帯刀、武嶋安左衛門の4名が就いていました。また、同心としては都甲斧太郎や持田鎌太郎、坂田周之助などが名を連ねており、合計で多くの職員がこの職務に就いていました。御用達町人として出雲寺萬次郎が与えられていたことも、当時の職務の特性を物語っています。

このように、書物奉行は江戸時代の書籍管理における専門組織として機能し、知識の蓄積と文化の発展に寄与した存在でした。彼らの仕事は、後世に残る文化資産の維持にもつながる大切な役割を果たしていたのです。

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