最後のマイ・ウェイ

2012年にフランスで製作された伝記映画『最後のマイ・ウェイ』は、世界的に有名な楽曲「マイ・ウェイ」の共同作曲者としても知られる、フランスの伝説的なポップスター、クロード・フランソワの短いながらも激動の一生を描き出しています。フローラン・エミリオ・シリが監督を務め、主人公のクロード・フランソワをジェレミー・レニエが演じています。原題である「Cloclo（クロクロ）」は、クロード・フランソワの愛称から取られています。

描かれる生涯

物語は、少年時代のクロードがスエズ危機によってエジプトを追われる苦難から始まり、輝かしい成功を収めた歌手として、そしてフランク・シナトラのヒット曲「マイ・ウェイ」の共作者として名を残しながらも、39歳で生涯を閉じるまでの軌跡を追います。名声の裏にあった苦悩や葛藤、家族や周囲の人々との関係性が丹念に描かれ、一人の人間としてのクロード・フランソワの姿に迫ります。

主要な出演者

主演のジェレミー・レニエが、カリスマ性と脆さを併せ持つクロード・フランソワを見事に体現しています。彼のマネージャーであるポール・ルデルマン役をブノワ・マジメルが演じ、確かな演技で物語を支えています。その他、クロードの母ショウファをモニカ・スカッティーニ、姉ジョゼットをサブリナ・セヴク、最初の妻ジャネット・ヴーラコットをモード・ジュレ、そして妻となるイザベル・フォレをアナ・ジラルドが演じています。父エメ役にはマルク・バルベ、また、当時人気を二分したアイドル歌手で、クロードの恋人でもあったフランス・ギャル役をジョセフィーヌ・ジャピが演じるなど、実在の人物を演じる俳優陣のアンサンブルも見どころの一つです。日本語吹替版も制作されており、土田大や鈴木幸二らが声優を務めています。

映画への評価と反響

本作は、公開後に批評家から一定の評価を得ました。フランスの映画情報サイトであるアロシネでは、25のメディアの評価を平均して5点満点中3.6点という評価を獲得しています。また、海外のレビュー集積サイトであるRotten Tomatoesでは、6件の評論のうち83%が好意的な評価を下し、平均点は10点満点中6点となっています。これらの評価は、作品がクロード・フランソワという人物の生涯を深く掘り下げ、観客に感銘を与えたことを示唆しています。

さらに、本作はフランス映画界で最も権威あるセザール賞において、主要部門を含む5部門にノミネートされました。具体的には、ジェレミー・レニエが主演男優賞に、ブノワ・マジメルが助演男優賞にノミネートされるなど、俳優陣の演技が高く評価されました。そして、その年のセザール賞において音響賞を受賞し、作品全体の完成度の高さが認められました。これらの受賞・ノミネート歴は、伝記映画としてのクオリティと、特に音響面での卓越した技術が評価された証と言えるでしょう。

『最後のマイ・ウェイ』は、単なるスターの成功物語ではなく、その光と影、そして音楽にかけた情熱を描いた、見応えのある作品として記憶されています。

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