最高中央評議会

最高中央評議会：スペイン占領下の抵抗と変革

最高中央評議会（Junta Suprema Central y Gubernativa del Reino）は、19世紀初頭、ナポレオンによるスペイン占領という未曾有の危機の中で誕生した、スペインの命運を握る重要な機関でした。その成立から解散、そしてその後の影響までを詳細に解説します。

成立の背景：混乱からの出発

1808年、ナポレオンはスペイン王室を退位させ、自身の兄ジョゼフをスペイン王に据えようとしました。しかし、この強引な政策に対し、スペイン国民は各地で抵抗運動を開始。各地の自治体や州政府は、フンタ（評議会）を組織し、ナポレオンの支配に対抗しました。

しかし、各地のフンタは連携が弱く、統一的な意思決定ができませんでした。そこで、各地のフンタは代表を送り込み、中央となるフンタを結成することを決定。こうして1808年9月25日、フロリダブランカ伯を議長として、最高中央評議会が発足しました。

活動：抵抗と限界

最高中央評議会は、当初、行政権の集中を避けるために摂政の設置を拒否。自らがその役割を担い、「陛下」としての待遇を求めました。しかし、戦況は厳しく、1808年11月にはマドリードから撤退を余儀なくされ、セビーリャへと拠点を移しました。

評議会は、戦費の管理、戦争税の創設、イギリスとの同盟締結など、様々な政策を実行。しかし、戦況は好転せず、1810年初頭には、スペイン軍はオカニャやアルバ・デ・トルメスの戦いで大敗を喫し、評議会はカディスへの撤退を余儀なくされました。

議会召集と解散

長期化する戦争を見据え、最高中央評議会は1809年4月に議会召集を決定。ガスパル・デ・ホベジャーノスが中心となり、議会召集の準備が進められました。また、評議会は海外の「王国」からの代議員派遣も決定。ヌエバ・エスパーニャ、ペルー、ヌエバ・グラナダ、ブエノスアイレスなどの副王領や、キューバ、プエルトリコなどの総監領から代議員が選出されることになりました。

しかし、戦況悪化の責任を問われ、最高中央評議会は1810年1月29日に解散。5名からなる摂政委員会が設置され、議会（コルテス）の召集を引き継ぐことになりました。

摂政委員会とコルテス

摂政委員会は、スペイン本土の回復とカディス・コルテスの設立を監督し、スペイン1812年憲法を起草しました。委員会は、フランシスコ・ハビエル・カスタノス将軍、アントニオ・デ・エスカノ、フランシスコ・サアベドラ、エステバン・フェルナンデス・デ・レオン、ペドロ・デ・ゲベド・イ・キンタノの5名で構成されました。

1810年9月24日に発足したコルテスは、立法権と摂政委員会の監督を引き継ぎ、スペインの政治改革を推し進めました。

イスパノアメリカへの影響

最高中央評議会の解散は、イスパノアメリカの各地に大きな影響を与えました。多くの人々は、フランス軍に脅かされる政府を支持する理由を見出せず、地域の独立を維持するためにフンタを設立する動きを加速させました。

ヌエバ・グラナダ、ベネズエラ、チリ、リオ・デ・ラ・プラタなどでは、フンタが設立され、独立運動が本格化。これらのフンタは、退位した王の名のもとに運営することを主張しましたが、独立を望む人々に機会を与え、イスパノアメリカの解放へとつながる25年にも及ぶ紛争を引き起こすことになりました。

最高中央評議会は、スペイン占領下における抵抗の象徴であると同時に、その後のスペインとイスパノアメリカの歴史に大きな影響を与えた、重要な機関であったと言えるでしょう。

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