最高裁判所裁判官任命諮問委員会設置法案

最高裁判所裁判官任命諮問委員会設置法案

最高裁判所裁判官任命諮問委員会設置法案は、内閣が最高裁判所裁判官を任命する際にその諮問を受ける委員会に関する法律案です。この法案の根底には、最高裁判所の裁判官人事を内閣の裁量から国民の意見に基づいた選考へとシフトさせることがあります。

概要

この法案では、最高裁判所裁判官任命諮問委員会の具体的な組織や運営方法が法律により定められています。これにより、内閣は最高裁判所裁判官を指名または任命する際に、この任命諮問委員会に対して諮問を行う必要があります。任命諮問委員会は、20人の委員で構成され、さまざまな立場から選ばれた委員が参加します。具体的には、衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官、検事総長、日本弁護士連合会会長、最高裁判所が指名する裁判官5名、そして弁護士5名、加えて内閣が指名した学識経験者2名、日本学術会議が指名した学識経験者3名で構成されます。

委員会が答申する候補者の数については、内閣の任命権と委員会の権威を両立させるため、最高裁長官に関しては最大2名、最高裁判事に関しては任命予定者の2倍以内に制限されています。さらに、任命諮問委員会が推薦した候補者の適任理由を、内閣に報告すると同時に広く国民に公表することが求められています。

背景

この法案が提案された背景には、1970年代に言われた「司法の危機」と呼ばれる状況があります。この時期には、裁判所の機構やその権限について広く国民の関心が高まり、特に革新勢力が中心となって司法問題に関する国民運動が展開されました。その流れの中で、日本社会党が中心となってこの法案が立案されることになりました。

法案は、1975年から1980年の間に日本社会党によって5回国会に提出されましたが、いずれも審議未了で廃案となっています。このような経緯から、最高裁判所の裁判官の任命プロセスに対して国民の理解と関与を深めることが急務とされており、そのための具体的な枠組みを法律で整備しようとする試みが続けられています。

参考文献

本法案の詳しい内容や背景については、西川伸一の著書『最高裁裁判官国民審査の実証的研究 : 「もうひとつの参政権」の復権をめざして』（五月書房、2012年）等を参照してください。この書籍は、裁判官の選任過程や国民審査についての実証的な研究を行っており、裁判官の任命に対する国民の理解を深めるための貴重な資料となっています。

関連項目

この法案に関連する項目として、裁判所法、最高裁判所裁判官、裁判官任命諮問委員会、最高裁機構改革法案などが挙げられます。これらの項目は、裁判所の制度や運営を理解する上で重要な情報源となります。

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