月の岬

月の岬について

月の岬（つきのみさき）は、東京都港区三田四丁目周辺に位置する地名で、歴史的には非常に重要な意味を持ちます。この名称は明治中後期には使われなくなりましたが、江戸時代には通行人や住民にとって特別な場所として認識されていました。

歴史と由来

江戸時代において、この地域は潮見崎、袖が崎、大崎、荒蘭崎、千代が崎、長南が崎と共に「七崎」と呼ばれていました。名称の由来にはいくつかの説が存在し、いずれもこの場所から月を見ることに由来していると考えられています。特に、慶長年間には徳川家康がこの地名を名付けたとの記録も残っており、三田台町一丁目の高札場の近くで用いられたと言われています。

もともとは「伊皿子 大円寺境内」と呼ばれていた場所が、次第にその周辺地域を指す名称に変わっていきました。三田済海寺との関係も指摘されており、地域の文化や信仰が名称に影響を与えた可能性があるのです。

特に著名な句として、秋元中納言による「秋ならば 月のみさきや いかならん 名は夏山の しげみのみして」が存在し、この地の景観が非常に魅力的であったことを示唆しています。風景の美しさが、文化的な表現の中にも色濃く反映されていることが分かります。

現在の様子

しかし、残念ながら明治中後期に発行された文献では、この言葉は過去形で言及されており、月の岬は既にその存在意義を失っていたことが伺えます。その間に旧観が失われてしまったこともあり、多くの人々にとってはその名残を探ることさえ困難になっています。

その他の月の岬

また、歌川広重が描いた月の岬の作品もあり、これが宮尾しげを指すものとして品川区にあった八つ山とされていることも興味深い点です。この八つ山は幕末に台場が建設される際に崩され、その跡形はもうありません。

参考文献

この地域に関する情報は、蘆田伊人が編纂した「御府内備考巻ノ88芝ノ1月の岬」および「御府内備考巻ノ98芝ノ11 付録　伊皿子町」に記録されています。いずれも高度な地理的観察に基づいており、過去の文化や土地利用の歴史を知るための貴重な資料となっています。

関連項目

月の岬を理解する上で、近隣の「月島」も関連性のある地名として考えることが出来ます。それぞれの地域がどのように地名に寄与しているのか、中でも月に関連する文化的な意味合いを掘り下げることは、さらなる研究の余地を残しています。

もう一度検索