済海寺

済海寺（さいかいじ）は、東京都港区三田四丁目に位置する浄土宗の寺院です。正式名称は周光山長寿院済海寺（しゅうこうざん ちょうじゅいん さいかいじ）といい、本尊は阿弥陀如来を祀っています。また、江戸三十三観音札所の第二十六番札所としても知られ、札所本尊は亀塚正観世音菩薩です。

地理

済海寺は、亀塚公園の隣に位置しており、静かで落ち着いた雰囲気をたたえています。この地は、『更級日記』にも登場する竹芝伝説の舞台となった「竹芝寺」の跡地としても知られています。竹芝伝説は、皇女と武蔵国の武士との悲恋を描いた物語で、そのロマンチックな背景が済海寺の歴史に深みを与えています。

歴史

済海寺は、1621年（元和7年）に牧野忠成と念無聖上人によって創建されました。越後長岡藩の藩主家である牧野家や、伊予松山藩の藩主家である松平家など、大名家の菩提寺として江戸時代を通じて重要な役割を果たしました。特に松平家からは1500坪もの広大な領地が寄進され、手厚い庇護を受けていました。松平家は17代にわたり、済海寺に遺体を土葬しており、その歴史の深さを物語っています。

また、幕末には意外な歴史も刻んでいます。1859年（安政6年）にフランス総領事館が置かれ、2年後には公使館へと昇格し、1874年（明治7年）までその役割を果たしました。これは、日本の近代化における重要な出来事であり、済海寺が国際的な舞台の一端を担っていたことを示しています。現在、境内には最初のフランス公使宿館跡を示す碑が建てられており、その歴史を偲ぶことができます。

1982年には、済海寺にあった旧越後長岡藩主家牧野家の墓所が悠久山へと改葬されました。この際、鈴木公雄氏を団長とする済海寺遺跡調査団による緊急遺骨調査が行われ、貴重な歴史的資料が発見されています。この調査の成果は、「港区三田済海寺 長岡藩主牧野家墓所発掘調査報告書」（1986年・東京都港区教育委員会）にまとめられています。

アクセス

済海寺へのアクセスは、都営地下鉄浅草線・三田線の三田駅から徒歩約10分です。都会の喧騒を忘れ、静かに歴史と文化に触れたい方にとって、訪れる価値のある場所です。

済海寺は、美しい自然に囲まれ、四季折々の風景を楽しむことができます。春には桜が咲き誇り、訪れる人々を魅了します。また、境内には多くの文化財が保存されており、歴史好きにはたまらないスポットです。都会の中心にありながら、静かで落ち着いた空間を提供する済海寺は、訪れる人々に心の安らぎを与えてくれるでしょう。

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