月の輪酒造店

有限会社月の輪酒造店：岩手から発信する日本酒の匠

歴史と伝統を受け継ぐ酒蔵

岩手県紫波郡紫波町に位置する有限会社月の輪酒造店は、1886年（明治19年）創業の老舗の日本酒蔵元です。代表銘柄である「月の輪」をはじめ、地元の豊かな自然と伝統の技が織りなす、数々の銘酒を生み出しています。紫波町は、日本酒造りに欠かせない南部杜氏の発祥の地としても知られており、月の輪酒造店はその歴史と伝統を深く受け継いでいます。

地元産米へのこだわり

月の輪酒造店は、日本酒造りに使用する原料米の多くを岩手県産米にこだわっています。その割合はなんと9割以上にものぼります。「ぎんおとめ」「吟ぎんが」「結の香」といった、地元で大切に育てられた酒米を使用することで、土地の気候や風土が醸し出す独特の風味を、日本酒に表現することに成功しています。さらに、酒造りに通常は使用されないもち米を100％使用した純米酒にも挑戦するなど、伝統にとらわれない革新的な取り組みも積極的に行っています。

女性杜氏による卓越した技

月の輪酒造店の杜氏は、横沢裕子氏。数少ない女性杜氏として、その卓越した技と情熱で、日本酒造りに取り組んでいます。伝統的な技法を継承しながらも、常に新しいことに挑戦する姿勢は、月の輪酒造店の日本酒に独特の魅力を与えています。社長を務めるのは、横沢裕子氏の夫である横沢孝之氏。夫婦二人三脚で、酒蔵を支えています。

創業から現在まで

創業は明治時代まで遡ります。初代は福井県から岩手県に移住し、麹屋を営んでいました。4代目にあたる横沢徳市氏が酒造業を創業、7代目の横沢大造氏はオーナー杜氏として酒蔵を牽引しました。2005年には法人化し、有限会社月の輪酒造店として新たな一歩を踏み出しました。2015年には、横沢孝之氏が社長に就任し、現在に至ります。

東日本大震災からの復興

2011年3月11日に発生した東日本大震災では、大きな被害を受けました。震災直後は花見自粛ムードが漂う中、東北地方の複数の蔵元と協力し「ハナサケ！ニッポン！」という共同サイトを立ち上げました。YouTubeを通じて東北地方の経済的二次被害の深刻さを訴え、復興に向けたメッセージを発信し続けました。

数々の受賞歴

月の輪酒造店の日本酒は、高い評価を受け、全国新酒鑑評会において、平成14酒造年から平成29酒造年にかけて数々の金賞を受賞しています。これは、長年培ってきた技術と、地元への深い愛情、そして革新への挑戦が実を結んだ証です。

未来への展望

これからも月の輪酒造店は、地元産米へのこだわり、伝統と革新の融合、そして地域社会への貢献を大切にし、高品質な日本酒を造り続けていくことでしょう。その歩みは、日本の日本酒文化を語る上で、重要な役割を担っていると言えるでしょう。

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