月光 (鬼束ちひろの曲)

シングル「月光」について

「月光」は、鬼束ちひろの2枚目のシングルであり、2000年8月9日にリリースされました。この楽曲は、彼女自身が作詞と作曲を手掛け、編曲は羽毛田丈史が担当しました。楽曲はミディアム・バラードで、抑圧からの解放を願う内容となっています。テレビ朝日系列のドラマ「トリック」の主題歌として採用されたことが、このシングルの成功を助けました。

ヒットの経緯

「月光」は、初登場時のオリコンウィークリーチャートで30位から11位に上昇し、約10か月間にわたりチャートインするロングヒットを記録しました。最終的に累計で50万枚以上の売上を達成し、出荷枚数は60万枚を超えました。この数字は、鬼束のシングル作品の中でも最高記録で、音楽配信でも大きな人気を誇り、日本レコード協会からダブル・プラチナに認定されています。

もともと「月光」は、正式にシングルとしてリリースされる予定ではありませんでしたが、ドラマの成功により急遽シングル化されることが決定されたのです。

楽曲の特徴

「月光」の調性は、嬰ヘ短調（F♯m）から嬰ト短調（G♯m）に変わる構成が特徴的です。また、2014年に公開された映画『トリック劇場版 ラストステージ』のCMでは、この楽曲が使用されています。

音楽的には、ピアノとストリングスカルテットを中心としたアレンジが採用されています。羽毛田丈史によると、楽曲の表現力を最大限に引き出すためにこの組み合わせが選ばれたそうです。アレンジ段階での試行錯誤も多かったようで、バンドバージョンは却下されたものの、ピアノのみのバージョンは彼女の1stアルバム『インソムニア』に収録されることとなりました。

歌詞の背景

鬼束は歌詞について、自身の当時の心情そのものを表現した結果だと言っています。一部の歌詞には「腐敗」という言葉が何度も登場し、若さゆえの混乱や、当時のプロデューサーとの軋轢が反映されています。楽曲のヒットにより「鬼束＝月光」というイメージが定着し、彼女自身は「この曲は嫌い」と語る一方で、音楽への足がかりとなった良い曲だとも述べています。

2020年の特別番組「Songs」では、各楽曲に対して自身のイメージカラーがあると語り、本曲のカラーがジャケット写真の衣装の色である「紫」であることを明かしました。

楽曲の収録情報

「月光」は多くのアルバムに収録されており、代表的なものに『インソムニア』や『the ultimate collection』などがあります。さらに、映画「グローウィン・グローウィン」への挿入歌として使用された「Arrow of Pain」も同じく彼女の音楽活動の一環として重要です。

カバーや影響

この楽曲は、様々なアーティストによってカバーされています。さらに、あばれる君というお笑い芸人がコントでこの曲をBGMとして使用しているなど、幅広いジャンルに影響を与えています。

「月光」は、鬼束ちひろの音楽キャリアにおいて象徴的な楽曲となり、彼女自身の表現の幅を広げるひとつの大きな要素として位置付けられています。

もう一度検索