調の概要
調(ちょう、key)は、
音楽における中心
音を基にした構成要素であり、主に
メロディーや
和音の形成において重要な役割を果たしています。
音楽が特定の中心
音、すなわちトーナルセンター(tonal centre)と関連しながら進行する場合、その
音楽は調性(tonality)を持つとされます。特に、伝統的な
西洋音楽においては、この調性に基づく
音の組織化が調と呼ばれています。
調性の種類
狭義には、調性のある
音楽作品は
全音階(diatonic scale)に基づく長調(major key)または短調(minor key)の2種類の調から構成されます。長調の場合、
音階のドの
音が中心
音となり、短調の場合はラの
音がその中心
音となります。このように、長調と短調は
主音(tonic)を特にペアとして認識します。すなわち、
長音階に基づく調は長調、
短音階に基づく調は短調と呼ばれます。
バロック音楽以降、
西洋音楽では調性を確立するために
和声(harmony)が不可欠な要素となります。
和声は聴き手が調の感覚をしっかり把握できるようにサポートします。一つの楽曲の中では、必ずしも調が一定とは限らず、
転調(modulation)という手法によって一時的に他の調に移行することができます。古い
音楽作品においては、調性を保持するために、曲の頭と尾が同じ調であることや、同じ
主音を持つ長調と短調の関係であること(同主調)が重要視されました。この調性が崩れ始めたのは、20世紀初頭のことです。
調の種類
西洋音楽で使用される調は、通常24種類(
異名同音を異なる調と見なす場合、実際には30種類)存在します。日本において
クラシック音楽の分野では、多くの場合、ドイツ語の
音名および調名が使われます。例えば、
ハ長調はC-Dur(ツェー・ドゥア)、
ハ短調はc-Moll(ツェー・モール)と呼ばれ、長調は大文字、短調は小文字で表記されるのが一般的です。
ドイツ語における
音名の扱いには特有の規則があります。嬰ハはCis(ツィス)、変ニはDes(デス)のように、
音名の後に「is」や「es」を付け加えます。変ホはEs(エス)、変イはAs(アス)と表現されます。また、ロはH(ハー)、変ロはB(ベー)と表記されるため、英語
音名との違いに注意が必要です。
ポピュラー音楽の領域では、英語の調名が用いられます。長調は「メジャー(major)」、短調は「マイナー(minor)」と呼ばれ、
主音の
音名を前につけて呼ばれます。
関索項目
以上が調に関する基本的な情報です。
音楽の調性を理解することは、
音楽理論を学ぶ上で非常に重要であり、楽曲の構成や
演奏に大きな影響を与えます。