月光露針路日本 風雲児たち

月光露針路日本 風雲児たち

『月光露針路日本 風雲児たち』は、みなもと太郎の長編歴史ギャグ[[漫画]]『風雲児たち』を基に、三谷幸喜が演出・脚本を手がけた歌舞伎作品です。この舞台は2018年12月に歌舞伎座で上演され、その後、大きな話題を呼びました。

概要

この作品の歌舞伎化は、三谷幸喜にとっては2006年の『決闘! 高田馬場』以来、13年ぶりの演出作品であり、初めての歌舞伎座公演でもありました。出演は松本幸四郎や市川猿之助、片岡愛之助、松本白鸚といった豪華な面々が揃い、特に幸四郎と猿之助は前名時代からこの作品に関わっていました。愛之助もテレビドラマで前野良沢役を演じた経験を持ち、白鸚は三谷脚本のドラマにも出演しており、各キャストの親しみ深い関係が舞台に彩りを加えています。

『風雲児たち』は1979年に連載を開始し、2019年時点でも続いている長編の歴史ギャグ[[漫画]]であり、物語は江戸時代から明治維新までを描いています。特に、大黒屋光太夫の漂流物語を基にした脚本が選ばれたことはファンの間でも注目を集めました。三谷はこの漫画の長年のファンであり、光太夫のエピソードを初めて読んだ際には、「これは歌舞伎で観たい」と感じたという背景もあります。

あらすじ

物語は、江戸時代後期、徳川幕府の圧制の中で頑丈な大型船の建造が禁止されていた状況を背景に展開します。大黒屋光太夫は商船の船頭として故郷を出発したところ、大嵐に遭遇し、漂流生活に入ることになります。この旅で彼は17人のクルーを率いて、なんとか元の故郷に帰ろうと奮闘しますが、船はただ海に流され、岸を目指すことすらかないません。

漂流の最中、彼の一行は異国の地で様々な困難に直面します。最初に漂着したのは、アリューシャン列島の小島であり、ここで先住民と遭遇します。次にロシアの毛皮商人にも出会いますが、彼らの迎えの船が目の前で沈没するという不運にも見舞われます。そこで光太夫たちは成功を信じ、新たに小船を作り、カムチャツカ半島へ渡ることを試みます。

ロシアに漂流した日本人が初めてではないにもかかわらず、彼らは親切に接されるものの、帰国を希望しても、その希望を受け入れる役人が存在せず、光太夫たちはたらい回しにされます。時が経つにつれ仲間は減り、苦難の末にイルクーツクに到着した時点で、約10年の歳月が流れていました。ここで新たに有力者と知り合い、やっと帰国の許可を得ることかできた光太夫。しかし仲間の一部は改宗して帰国を断念する決断をし、光太夫は海を見つめ、ついに重い航海の果てに故郷の根室を目指します。

配役とスタッフ

本作品の制作において、原作はみなもと太郎、作・演出は三谷幸喜が担当しました。そのほか美術や照明、衣装、音響といったスタッフも多数参加し、全体のクオリティを高めています。特に、参加した出演者の演技が物語の深みをもたらし、多くの観客の心を掴みました。

公演と評価

初演からの公演は高評価を得ており、観客からの反響も非常に良好でした。特に6月4日の公演ではトリプルアンコールが実現したことも印象的で、多くのファンが心を打たれたようです。さらに、2020年10月には舞台映像を基にした『シネマ[[歌舞伎]]』も公開され、新たなファン層を開拓しました。

このように、『月光露針路日本 風雲児たち』は、伝統的な歌舞伎の形を生かしつつ、革新的な演出が織り交ぜられた作品として、多くの人々に愛され続けているのです。

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