シネマ歌舞伎

シネマ歌舞伎の概要

シネマ歌舞伎は、松竹株式会社が手掛ける映像作品で、歌舞伎の舞台公演を高性能カメラを使って撮影し、映画館で上映する新しいスタイルのエンターテインメントです。この形式の初作品は2005年1月に公開された『野田版 鼠小僧』で、歌舞伎座での公演を元に制作されました。

背景

近年、歌舞伎の観客層が高齢化が進んでいるとされ、特に40代以上の観客が観劇の大半を占めています。これに伴い、若い世代や地方在住の人々へのアプローチが重要な課題とされています。また、NHK-BSでの歌舞伎の放送が減少している影響で、舞台を観る機会自体も減少しているため、シネマ歌舞伎は新たな鑑賞機会を提供する手段として展開されました。ただし、その影響の効果はまだ詳しくわかっていません。

制作と特徴

2014年7月までに、シネマ歌舞伎は23作品が公開されました。また、シネマ歌舞伎の特異な点に、映像・演劇両方の制作ノウハウを持つ松竹の強みがあります。撮影にはSONY製の高精細HDカメラが用いられるため、映像の質も非常に高いものとなっています。

さらに、2008年には銀座・ソニービルで「シネマ歌舞伎展」が開催され、過去の作品の予告編やメイキング映像の上映、使用機材の展示が行われました。これにより、観客と歌舞伎の新たな接点が築かれつつあります。

制作方法

シネマ歌舞伎の制作方法には、主に2つのスタイルがあります。一つは舞台をそのまま録画する手法、もう一つは映画監督が舞台演出に関与し、撮影後に映像を編集する方法です。例えば、『人情噺文七元結』や『連獅子』では、著名な監督が携わっていました。

しかし、法界坊以降の作品では映像の質が低下したとの指摘もあり、制作方法においても工夫が求められています。最初の作品が赤字であったものの、デジタル化を進めたことにより、以降の作品では黒字化を果たし、特に『春鏡鏡獅子』は39館での上映を実現しました。

上映形式

松竹株式会社は、シネマ歌舞伎を「映画でもなく歌舞伎でもない新しいメディア」として位置づけ、通常の映画とは異なる形で公開しています。上映は主に東劇を中心とした松竹系列の劇場で行われ、全国一斉公開ではなく、順次ロードショー形式が採用されています。また、シネマ歌舞伎の入場料金は松竹系の劇場で統一されており、2013年6月には「シネマ歌舞伎クラシック」が東劇で上映されるなどの取り組みも見られます。

おわりに

シネマ歌舞伎は、従来の歌舞伎と映画の枠を超え、新たなエンターテインメントの形を追求しています。これにより、伝統ある歌舞伎の魅力を現代の観客に伝える手段として、その存在感を増しています。

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