月光 (航空機)

月光（げっこう）

月光は日本海軍に属する夜間戦闘機であり、連合軍によってIrvingというコードネームが付けられました。この航空機は特に、B-29などの重爆撃機を迎撃するために設計されており、その特徴として独自の斜銃を装備しています。この斜銃は機軸に対して上方または下方に30度前後の仰角がつけられており、敵の攻撃に対する高い効果を示しました。

特徴

月光に装備されている斜銃の利点として、敵重爆撃機の後部下方からの攻撃に対する脆弱性を突くことが容易になる点が挙げられます。この攻撃方式により、攻撃待機時間を長く保つことができ、主にB-29航空機の邀撃任務において高い成績を収めました。月光の生産数は二式陸上偵察機を含め477機であり、そのうち終戦時には約40機が残っていました。

歴史

月光の開発は、日中戦争における戦訓から始まりました。海軍は独自に「十三試双発陸上戦闘機」という新型機の開発を決定し、中島飛行機と連携してこの機体の設計を進めました。1938年11月、海軍からの要求に基づき、設計チームは高い空中戦闘能力と航続力を兼ね備えた二発エンジンの戦闘機を目指しました。この機体はもともとサポート任務に用いられる予定でしたが、試作機のテストの結果、運動性能が不足し、戦闘機としては不採用になりました。

その後、海軍は新たに開発した「二式陸上偵察機」として、月光の設計を改良し、最終的に夜間戦闘機としての役割を与えました。1943年に斜銃を搭載した仕様が完成し、「月光」という名が与えられました。この新型機は当初、敵爆撃機に対する迎撃任務を託けられ、特にB-17やB-24に対する作戦でその性能を発揮しました。

戦局での活躍

月光はB-29などの大型爆撃機に対して、夜間に迎撃を行い数々の成功を収めました。特に、工藤重敏上飛曹の操縦により、B-17やB-24を多く撃墜しています。しかし、戦局の悪化が進むにつれて、月光の効果は次第に薄れていきました。

また、月光は戦災を受けており、後期生産型は主に夜間の偵察や敵基地への攻撃任務に用いられました。このような戦術変更にも関わらず、一部の搭乗者は命をかけた戦果を上げ続けました。

最後の戦果

1945年に入ると、月光はB-29による攻撃に応じるため、昼夜を問わず迎撃任務に出撃しました。特に、遠藤幸男大尉は多くのB-29を撃墜し、日本国内でも「B-29撃墜王」として知られる存在となりました。彼の活躍は国民の記憶に強く刻まれています。しかし、1945年1月14日にB-29の攻撃によって彼が戦死したことで、日本海軍は大きな損失を被ることになりました。

月光は終戦まで日本海軍の主力夜間戦闘機としての役割を果たしましたが、戦争が進むにつれてその数は減少し、新型機の導入が困難となった結果、同機は日本の空を守る最後の砦として活躍し続けました。戦後、アメリカ軍によって接収された一機は、現在スミソニアン博物館で展示されています。

諸元

• - 機型：十三試双発陸上戦闘機
• - 武装：機首20mm機銃＋7.7mm機銃
• - 最高速度：280ノット（約519km/h）
• - 航続力：正規1300浬（約2408km）
• - 運用：敵爆撃機迎撃、夜間の偵察および攻撃

このように、月光は日本海軍の歴史において重要な役割を果たし、その姿は現在も多くの人々に語り継がれています。

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