月刊Asahi

月刊Asahiについて

月刊Asahiは、1989年に朝日新聞社による論壇誌として創刊されました。この雑誌は、1960年代から1970年代にかけて繁栄した「朝日ジャーナル」や「世界」といった左翼論壇の衰退を受けて、リベラル左派を志向する内容に特化することで新たな差別化を図ろうとしたものです。

初めに、1989年の1月には創刊準備号が発行され、その後同年の5月に本格的な創刊号となる1989年6月号が発売されました。当初は週刊誌としてB5サイズで刊行されていましたが、「朝日ジャーナル」の休刊を受け、1992年6月号からは月刊誌としてA5サイズに変更されました。

月刊Asahiは、著名な作家による小説も掲載されていました。たとえば、司馬遼太郎や田辺聖子などが作品を寄稿しており、さらに左派論壇の識者が論考を行っていました。特に、執筆陣には佐高信といった著名な左派論壇人や朝日新聞の論説委員が多く名を連ねていました。しかしながら、紙面上の内容はあまり新鮮味を感じさせるものではなく、朝日新聞と似通った印象を与えがちでした。

結果として、月刊Asahiは創刊からわずか5年足らずで、通巻57号をもって休刊するという遺憾な結果を迎えました。このことは、左派やリベラル系の論壇誌が直面している苦境を示す象徴的な事例とも言えるでしょう。

その後、月刊Asahiの後継誌として「Ronza」が創刊され，論壇の新たな展開が期待されましたが、月刊Asahiの短命さは、当時の左派論壇が持つ問題点を浮き彫りにするものでもありました。

この雑誌の歴史は、社会や政治、文化に関する意見や視点を提供していた一方で、読者にとってどのような価値を持つかという疑問も生じさせました。月刊Asahiは、時代の変化とともに左派論壇がどのように進化していくのかを考える重要な素材を提供していたのです。

月刊Asahiの発行は、当時の社会情勢や文化的背景を理解する上での一部の資料としても意味を持ちます。多くの人々がこの雑誌を通じてどのような議論が展開されたのか、そしてその結果的な影響について、今後も研究が進むことが期待されます。

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