朝日ジャーナル

『朝日ジャーナル』の歴史と影響

『朝日ジャーナル』は、1959年の創刊から1992年の休刊まで約33年間にわたり、日本で発行された週刊誌です。発行元は朝日新聞社で、創刊時に掲げた「報道・解説・評論」という3つの柱は、国内外の重要なニュースや社会問題を検証する姿勢を貫きました。

創刊と初期の展開

『朝日ジャーナル』は、出版局長の田中慎次郎の指導の下、週刊誌ブームの中で登場しました。創刊編集長には元『週刊朝日』の育ての親である扇谷正造が予定されていましたが、方針の不一致から和田斉が就任しました。創刊号の発行部数は37万部で、最初の定価は40円でした。これは、当時発行されていた『週刊朝日』や『アサヒグラフ』に続く第三の週刊誌としての位置付けでした。

その後の1960年代から1970年代にかけては、ベトナム反戦運動や安保闘争などの社会情勢を受けて、雑誌は飛躍的に成長しました。特に1968年には、平均的な発行部数が26万部に達しました。当時の読者層は、学生運動に関心を持つ「全共闘世代」と言われる人々が中心でした。

変革と苦境

1970年代には、学生運動が下火になり、それに伴って発行部数は減少しました。1971年には、赤瀬川原平の連載「櫻画報」が大きな波紋を呼び、朝日新聞社は自主回収を行う事態となりました。この事件の影響で『朝日ジャーナル』は2週間の休刊に追い込まれ、その後も内部での紛争や人事異動が続きました。しかし、ロッキード事件の報道などでなんとか持ち堪えたものの、販売部数は依然として低迷が続いていました。

1984年には筑紫哲也が編集長に就任し、表紙のデザインを一新、ニュー・アカデミズム路線を採用しました。この新たな方向性は若者に人気を集め、一時的に発行部数を増加させましたが、従来の読者からは支持を受けられず、「文化偏重」との批判を浴びました。結果として、筑紫は1987年に編集長を退せざるを得なくなりました。

さらに1990年には初の女性編集長である下村満子が就任し、誌面の刷新やテレビCMの放映などで復活を試みましたが、発行部数は回復せず、1992年5月29日号をもって休刊が決定しました。この時期、朝日新聞社内での過当競争も休刊の一因とされています。

休刊後の復刊と記憶

『朝日ジャーナル』は2007年に特集として復刊され、その後2009年には創刊50周年を記念した号が発行されました。この復刊号には有名な作家たちの寄稿や過去の特集の再録が含まれ、多くの読者の関心を呼びました。だが、定期刊行には至らなかったものの、編集長は今後の可能性について示唆しました。

注目された記事と影響

『朝日ジャーナル』では、数々の重要な記事が掲載されました。その一つが、1971年の赤瀬川原平の「櫻画報」最終回です。この記事は、朝日新聞の社章を揶揄する内容であり、朝日新聞社による自主回収という事態を引き起こしました。また、1980年代には霊感商法批判の連載や国鉄分割民営化への反対特集も取り上げ、社会問題への鋭い視点が注目されました。

『朝日ジャーナル』はその活動期間を通じて、日本のジャーナリズムに大きな影響を与え続け、多くの読者に支持されてきました。その歴史は、他の週刊誌と比べても独自の道を歩んでおり、今なおその存在は語り継がれています。

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