月待哀愁歌

アルバム概要

『月待哀愁歌〜村下孝蔵最高選曲集 其の弐』（つきまちあいしゅうか むらしたこうぞうさいこうせんきょくしゅう そのに）は、シンガーソングライター村下孝蔵の音楽世界を辿る特別企画として、2005年9月21日に発表されたライブ・アルバムです。この作品は、彼の七回忌にあわせて制作されたもので、先にリリースされた『七夕夜想曲〜村下孝蔵最高選曲集 其の壱』に続く選曲集第二弾として位置づけられています。村下孝蔵が遺した豊かな楽曲群の中から厳選された内容に加え、貴重な映像資料も収められている点が特徴です。

アルバム構成と収録内容

本作は、CDとDVDの2枚組という構成でリリースされました。それぞれのディスクには、村下孝蔵の異なる時期におけるパフォーマンスや表現が収められており、彼の多角的な魅力を俯瞰できる内容となっています。

Disc.1（CD：ライブ音源）

Disc.1には、1995年から1998年にかけて行われた村下孝蔵のライブツアーから選ばれたパフォーマンス音源が収録されています。この時期は、彼のキャリアにおいて円熟期にあたり、情感豊かな歌声とギター一本による繊細な演奏が多くの聴衆を魅了しました。ライブならではの空気感と、スタジオ音源とはまた違った生々しい歌唱を堪能することができます。

収録されているのは、彼自身が作詞・作曲を手がけた珠玉の17曲です。代表曲である「初恋」や「踊り子」はもちろん、ライブで人気の高かった楽曲や、後期の作品まで幅広く網羅されています。以下に全収録曲をリストアップします。

午前零時
松山行きフェリー
教訓
冬物語
明日あればこそ
モ・ザ・イ・ク
花れん
だめですか?
たなばた
同窓会
野菊よ
幸せの時間
踊り子
女優
読み人知らず
初恋
* 歌人

Disc.2（DVD：ライブ映像・MV）

Disc.2のDVDには、村下孝蔵の初期における貴重な映像が収められています。一つは、1981年にシングル「春雨」を発売した頃、草月ホールで行われたライブパフォーマンスの模様です。このライブ映像からは、デビュー間もない頃の若々しくも熱気あふれる歌唱姿を見ることができます。「何故か」「酔いしれて」「春雨」といった楽曲を通じて、当時の彼の瑞々しい表現力を感じ取ることができます。

さらに、1984年に発表されたシングル曲「夢のつづき」のミュージックビデオも収録されています。このMVは、村下孝蔵の映像作品としても貴重であり、楽曲の世界観を視覚的に捉えた映像を通じて、当時の彼の雰囲気や、音楽と映像表現の結びつきを垣間見ることができます。これらの映像資料は、音源だけでは伝わりきらない彼のアーティスト像を補完し、ファンにとってはまさに待望の記録と言えるでしょう。

アルバムの価値

『月待哀愁歌〜村下孝蔵最高選曲集 其の弐』は、後期のライブ音源と初期のライブ映像・MVという、時期も形式も異なる要素を組み合わせることで、村下孝蔵の音楽活動の幅広さと深さを提示しています。円熟期に達したライブパフォーマンスの臨場感と、活動初期の貴重な記録映像。これら二つの側面を通じて、時代を超えて色褪せない彼の楽曲の魅力、そして一人のシンガーソングライターとしての確かな足跡を改めて感じ取ることができる作品です。村下孝蔵の音楽を深く知りたいファンにとって、必携の選曲集と言えるでしょう。

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