七夕夜想曲

七夕夜想曲〜村下孝蔵最高選曲集 其の壱

『七夕夜想曲〜村下孝蔵最高選曲集 其の壱』（たなばたやそうきょく むらしたこうぞうさいこうせんきょくしゅう そのいち）は、シンガーソングライター村下孝蔵の音楽活動を振り返る上で重要な作品の一つです。このベストアルバムは、彼の逝去から七回忌にあたる2005年、6月22日に特別企画盤としてリリースされました。村下孝蔵が遺した情感豊かな楽曲の世界を、より多くのリスナーに届けることを目的として編纂されています。

本作は2枚組の構成となっており、彼のキャリアを代表するオリジナル楽曲群と、ライブパフォーマンスにおける魅力の一端を捉えた音源によって、多角的にその才能を紹介しています。

Disc 1 収録曲

Disc 1には、村下孝蔵自身が作詞・作曲を手がけたオリジナル作品の中から、特に親しまれている楽曲や、彼の音楽性を色濃く反映した楽曲が多数収録されています。青春の機微や叙情的な風景描写を得意とした彼の真骨頂ともいえる楽曲が並びます。

月あかり
春雨
帰郷
ゆうこ
初恋
踊り子
少女
夢のつづき
かざぐるま
ねがい
陽だまり
哀愁物語 〜哀愁にさようなら〜
風のたより
ソネット
アキナ
この国に生まれてよかった
一粒の砂

「初恋」や「踊り子」、「ゆうこ」といった世代を超えて愛されるヒット曲はもちろんのこと、「月あかり」「春雨」に代表されるような情景を描写する筆致の巧みさ、「ねがい」「陽だまり」といった心の機微に寄り添う温かさ、「哀愁物語」「風のたより」に漂う切なさなど、様々な感情や情景が織りなす村下ワールドを堪能できる選曲となっています。

Disc 2 収録曲

Disc 2も、村下孝蔵の手によるオリジナル楽曲を収録しつつ、彼のライブ活動における重要な要素であったカバー曲をライブ音源で収めている点が特徴です。これにより、スタジオ録音された楽曲とは一味違う、生きた音楽としての村下孝蔵の魅力を伝えています。

ロマンスカー
つれてって
16才
同窓会
ひとりぼっち雨の中
雪が降る日に （ライブ）
氷の世界 （ライブ）
影を慕いて （ライブ）
22才の別れ （ライブ）
* 夜行列車

Disc 2には「ロマンスカー」や「夜行列車」のように旅情を感じさせる楽曲や、青春期を描いた「16才」「同窓会」などが収められています。そして特筆すべきは、ライブバージョンで収録されたカバー曲です。「雪が降る日に」は伊勢正三作詞・南こうせつ作曲によるかぐや姫の楽曲、「氷の世界」は井上陽水、「影を慕いて」は古賀政男、「22才の別れ」は伊勢正三による風の楽曲であり、これらは村下孝蔵が自身のライブで大切に歌い継いできた楽曲群です。これらの選曲からは、彼が敬愛していた音楽のルーツや、自身の音楽表現に与えた影響の一端をうかがい知ることができます。ライブならではの情感豊かな歌唱と演奏を通じて、村下孝蔵のパフォーマンススキルや、楽曲への深い解釈を伝える貴重な記録と言えるでしょう。

アルバムの意義

『七夕夜想曲〜村下孝蔵最高選曲集 其の壱』は、村下孝蔵が遺した珠玉のオリジナル楽曲と、ライブという場で披露されたカバー曲を含めることで、彼のアーティストとしての多面性を浮き彫りにしています。七回忌という節目に企画された本作は、改めてその音楽に触れる機会を提供し、村下孝蔵の歌声とメロディが持つ普遍的な魅力が、時代を超えて受け継がれていくことを願うかのような選曲集となっています。情感あふれる歌声と、叙情的かつ緻密に描かれる詞世界は、今なお多くの人々の心に響き続けています。

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