月待塔

月待塔について

月待塔（つきまちとう）とは、日本における民間信仰に根ざした塔であり、指定された月の特定の夜に集まる月待行事を行うために建立されたものです。また、月待塔は月待信仰塔とも呼ばれ、地域ごとに異なる特徴を持つことがあります。

月待行事とは

月待行事は、旧暦の特定の日に行われる宗教的な活動で、「講中」と呼ばれる仲間が集まって、月を拝む儀式を行います。たとえば、十五夜や十六夜、十九夜、二十三夜などがあり、参加者は飲食を共にした後、経文を唱えたり、死者の供養を行ったりします。この信仰は室町時代から存在し、江戸時代には全国的に広がりました。特に二十三夜講の場合、参加者が集まって建立した塔が多く存在し、全国の路傍で見ることができます。

月待塔の分類

月待塔は、その形や建設された際の当たり日に応じてさまざまに分類されます。以下は、当たり日による月待塔の主な種類です：

• - 十三夜塔：旧暦9月13日に行われる月待に関連し、虚空蔵菩薩を本尊とする塔です。
• - 十四夜塔：旧暦14日には、団子を用いて念仏を唱える行事が行われた記念として建てられました。
• - 十五夜塔：旧暦8月15日の十五夜に行う行事を記念した塔で、さまざまな仏像が彫られています。
• - 十六夜塔：旧暦16日の記念として建立されたもので、特に関東北部での祝祭が行われました。
• - 十九夜塔：主に女人講によって造立され、安産を祈願する目的での祭りが行われていました。
• - 二十夜塔、二十一夜塔、二十二夜塔、二十三夜塔、二十六夜塔、七夜待塔など、多様な塔が存在します。

それぞれの塔には、さまざまな信仰の形態が反映され、地域特性が見られます。

月待版碑

その中でも、月待信仰に由来する板碑は「月待板碑」と呼ばれ、関東地方を中心に分布していることが特徴です。ほとんどが青石で造られ、十三仏や勢至菩薩などの彫刻が施されています。最古のものは埼玉県富士見市の1441年の板碑で、今は資料館に展示されています。

併刻塔

また、併刻塔という形では、複数の行事が一つにまとめられた塔も存在します。このような塔には、たとえば「十七夜」「十八夜」「二十三夜」といった具合に、複数の月待の名が刻まれることがあります。

まとめ

月待塔は日本の文化と信仰の象徴であり、それぞれの塔は独自の物語と信仰を持っています。地域によって異なる習慣が今なお続いているため、各地を訪れた際にはそれぞれの塔の歴史や背景について知っておくことで、より深い理解を得ることが可能です。

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