月脚達彦

月脚達彦：朝鮮近代史を深く探求する歴史学者

月脚達彦氏は、日本の歴史学者として、特に朝鮮近代史において顕著な業績を残しています。1962年北海道生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授の職にある氏は、同大学院のグローバル共生プログラム運営委員も兼任し、国際的な視野も持ち合わせています。

氏の専門は朝鮮近代史、中でも19世紀末から20世紀前半の朝鮮思想史に焦点を当てています。近代朝鮮における国民国家やナショナリズムの形成と展開を、文化史や社会史の観点から多角的に研究。単なる政治史にとどまらず、社会構造や文化的な側面にも着目することで、朝鮮近代の複雑な様相を深く解き明かしています。

研究対象は朝鮮半島内部にとどまりません。日韓関係をはじめとする東アジアにおける歴史教育や歴史認識の問題にも関心を持ち、国際的な視点を取り入れた研究を行っています。これは、日韓両国の歴史認識の相違という複雑な問題に対し、より包括的な理解を促進する上で重要なアプローチといえるでしょう。

学術的な経歴は輝かしいものがあります。東京外国語大学外国語学部朝鮮語学科卒業後、東京都立大学大学院人文科学研究科史学専攻に進学。博士課程を単位取得退学後、東京外国語大学で助手を経て専任講師、助教授へと昇格。2006年には東京大学総合文化研究科言語情報科学専攻助教授に就任し、2012年には教授に昇格しました。

これらの経歴からもわかるように、氏は一貫して朝鮮近代史の研究に邁進し、高い専門性を培ってきました。その研究成果は数々の著作に結実しています。主な著書には、『朝鮮開化思想とナショナリズム　近代朝鮮の形成』、『福沢諭吉と朝鮮問題　「朝鮮改造論」の展開と蹉跌』、『福沢諭吉の朝鮮　日朝清関係のなかの「脱亜」』などがあり、いずれも朝鮮近代史における重要なテーマを深く掘り下げています。また、『大人のための近現代史 19世紀編』(共編)などにも携わり、歴史研究の普及にも貢献しています。さらに、アンドレ・シュミット著『帝国のはざまで』の翻訳にも参加するなど、幅広い活動を行っています。

月脚達彦氏の研究は、近代朝鮮の歴史を理解する上で欠かせないものです。その緻密な研究と国際的な視点、そして分かりやすい解説は、専門家のみならず、一般読者にとっても貴重な知見を提供してくれるでしょう。氏の今後の研究活動にも期待が高まります。

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