有冨正憲

有冨 正憲（ありとみ まさのり）

有冨正憲は1947年に埼玉県で生まれた日本の有名な原子力工学者であり、東京工業大学の名誉教授として知られています。

学歴と初期のキャリア

1970年、東京工業大学の工学部機械工学科を卒業後、1972年には同大学大学院理工学研究科の原子核工学専攻に進学し、修士課程を修了しました。1975年に博士課程の単位を取得し中退後、東京工業大学原子炉工学研究所で助手としてキャリアをスタートさせます。その後、1977年に再び博士課程を修了し、青木成文教授に師事しました。

1983年には原子炉工学研究所の助教授に昇進し、1997年からは教授として在籍しました。以降、日本原子力学会の理事や日本混相流学会の会長、日本機械学会動力エネルギーシステム部門長、東京工業大学原子炉工学研究所所長など数々の要職を兼任し、原子力研究の発展に寄与しました。2011年には東京工業大学の卓越教授に就任し、同年に内閣官房参与として福島第一原子力発電所事故への対応に助言を行いました。

教育と研究以外の活動

2013年には定年を迎え、東京工業大学の名誉教授に就任。その後、東京都市大学理工学部の教授とエネルギー総合工学研究所の理事として活動を続けました。2022年からはいちごSiの首席顧問に就任しており、技術的なアドバイスを提供しています。また、国土交通省の運搬船技術顧問会の顧問や日本原子力産業協会の放射性物質の輸送・貯蔵に関する専門委員会の委員長、原子力安全技術センターの評議員など、幅広い分野で貢献しています。

名誉毀損訴訟

有冨氏は、2015年に毎日新聞の記事により名誉毀損を受けたとして損害賠償を請求しました。東京地方裁判所は、核燃料輸送容器メーカーに関する日本原子力学会の審議を歪曲した事実はないとし、毎日新聞社に対して165万円の損害賠償を認めました。また、東京高等裁判所でもその判決は支持され、名誉毀損が認められました。

著作と受賞歴

有冨氏は数多くの著作を持ち、主な作品には『諸外国の原子力事情 5 : 使用済燃料の中間貯蔵施設の現状について』（2005年）、『核燃料物質等の安全輸送の基礎』（2007年　共著）、『今、原子力研究者・技術者ができること』（2012年 編著）等があります。彼の業績は多くの賞にも評価されており、1970年に日本航空協会の日本航空学術賞、1978年に日本原子力学会の日本原子力学奨励賞、2000年に科学技術庁長官賞原子力安全功労者表彰、2015年には日本機械学会動力エネルギーシステム部門の功績賞を受賞しています。

結論

有冨正憲は、原子力技術の発展とその安全性において重要な役割を果たしてきた人物です。彼の仕事は現在の原子力産業に大きな影響を与えており、今後もその業績に注目が集まることでしょう。

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