有料発展場

有料発展場とは

有料発展場とは、ゲイ男性が性的な出会いと行為を目的として利用する、有料の性風俗施設です。新宿二丁目の公園など、ゲイ男性の出会いの場である「発展場」の有料版として登場しました。「ハッテンバ」とカタカナ表記されることもあります。

日本では、「発展場」「発展サウナ」「ビデボー（ビデオボックス）」などの名称で呼ばれることが一般的です。公園などの公共の場における発展場については、別の項目を参照する必要があります。

日本における発展場の歴史

概要

1960年代から70年代頃、これらの施設は「淫乱旅館」と呼ばれていました。その後、旅館の建て替えとともに、大浴場や個室を備えた大型施設が登場し、「ハッテンホテル」「ハッテンサウナ」と呼ばれるようになりました。近年では、「ヤリ部屋」「ゲイサウナ」といった名称も使われています。

単に「発展場」と呼ばれる場合、公園などの野外発展場も含まれることがあります。1960年に創刊された「風俗奇譚」には、淫乱旅館の広告が掲載されており、ゲイ男性が「ナンパ」や「男漁り」をする行為は、「発展」や「クルージング」と称されることもありました。有料の室内発展場だけでなく、ゲイバーやゲイディスコも広義のクルージングゾーンとみなされることもありました。

2011年10月、東京・北新宿の「デストラクション」が摘発されたことをきっかけに、発展場に対する規制が強化されました。1980年代以降のエイズ禍を経て、これらの施設ではコンドームの配布やセーファーセックスの啓発が行われるようになりましたが、一部の施設ではコンドームを使用しない性行為が行われていることもあり、HIVなどの性感染症の拡大が懸念されています。

歴史の詳細

戦前

明治時代に刊行されたグラフ誌「風俗画報」には、「男色 笹の屋」という記事がありましたが、その周辺で現在のような発展行為が行われていたかは不明です。

戦後直後 - 1960年代

公共の発展場は以前から存在しましたが、有料の発展場が登場したのは1950年代頃とされています。東京には「砂川屋」、大阪には1953年頃に「竹の屋」という淫乱旅館ができました。少し遅れて、東京池袋には「西武園」（後の西武苑）が1958年に開店しました。1950年代には他にも淫乱旅館が存在した可能性がありますが、詳細は不明です。

当時、商業ゲイ雑誌はほとんどなく、旅館の場所は、発展公園や映画館で出会った人からの口コミで知るしかなく、多くのゲイには知られていませんでした。1961年10月号の「風俗奇譚」には「ホモの窓：三都のホモ旅館」という記事が掲載されています。

1960年代 - 1970年代

1950年代は発展旅館（淫乱旅館）の黎明期であり、1970年代にかけてその数を増やしました。1971年に創刊された「薔薇族」に発展場の特集記事や広告が掲載され、ゲイマーケットに組み込まれていきました。1975年11月号の「薔薇族」では、渋谷の「千雅」という淫乱旅館が紹介され、多くのゲイに知られるようになりました。

1980年代

1980年代には、古めかしい発展旅館や大型発展ホテルに加え、クルージングスペースが登場しました。当時の新宿二丁目はゲイバーやディスコが中心で、クルージングスペースは「スカイジム」（1981年開店）などがわずかにある程度でした。大阪では「GYM」という発展サウナが有名でした。

1990年頃以降

1990年頃から、東京では秋葉原「ビックマン」、新中野「ロン」、五反田「ヤングマン」など、二丁目では「AmsTrip」、「バナナプラント」、「ブラックボックス」、「バックドロップ」、「パラゴン」といった施設が登場しました。さらに、渋谷、代々木、初台、中野坂上、大久保など、新宿から放射状に店舗が拡大しました。

山手線の東側には、リーマン層をターゲットとした店舗が増加しました。大阪では、難波や堂山を中心に「MEN'S FESTIVAL」、「CRAZY-8」、「IN OUT IN」などの施設ができました。

地方都市

名古屋には「ドンバラ会館」（現コロナクラブ）、広島には「喜楽会館」、札幌には「三船会館」などができました。「喜楽会館」は最盛期には18店舗を展開していました。

問題

2011年10月、新宿区北新宿の発展場「デストラクション」が公然わいせつほう助の疑いで摘発されました。この事件をきっかけに、都内の発展場では全裸指定から下着着用指定に切り替える店舗が相次ぎました。しかし、現在では全裸指定を解禁する店舗も存在します。

欧米の発展場

欧米では、発展行為は「Cruising」と呼ばれます。施設は「Gay bathhouse」（ゲイ浴場）、「Gay sauna」（ゲイサウナ）、「Schwule Sauna」（ドイツ語）などと呼ばれます。

これらの施設は、男性同士が性行為をするための商業浴場です。浴場の規模や部屋の数、設備は様々で、スチームバス、ジャグジー、プールなどが備えられていることもあります。

欧米におけるゲイ浴場の歴史

15世紀には、浴場で男性同士が出会っていた記録があります。公衆浴場の記録は紀元前6世紀まで遡りますが、同性愛に関する記録も残っています。

19世紀後半から20世紀初頭にかけて、ゲイは浴場を性行為の場として利用するようになりました。浴場だけでなく、公園、路地、駅、映画館、公衆トイレなどもクルージングエリアとして利用されました。

当時、同性愛行為は違法であったため、これらの場所で同性愛行為が見つかると、逮捕や公的な辱めを受けることがありました。

初期の記録

1492年：イタリア・フィレンツェ
「ソドミーの悪徳」に対する追放が行われました。同性愛行為が行われた場所は、居酒屋、浴場などでした。

1876年：パリ
パリの浴場で警察の家宅捜索が行われ、22歳～14歳の男性6人が起訴されました。

1903年：ニューヨーク
ニューヨーク警察がアリストンホテルの浴場を捜索し、26人が逮捕され、7人が懲役刑を受けました。

脚注

関連項目

スカイジム
売り専（ゲイ向け風俗店）
性風俗産業
風俗店
ゲイ用語

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