有松町

有松町：絞りの歴史と桶狭間の戦いの地

有松町は、かつて愛知県知多郡に存在した町で、現在の名古屋市緑区の一部を構成しています。この地域は、東海道沿いの古い町並みが残る「有松」と、戦国時代のターニングポイントとなった桶狭間の戦いの舞台である「桶狭間」という、二つの重要な要素を抱えています。

有松の歴史

有松の歴史は、1608年（慶長13年）に尾張藩が東海道を整備する際、桶狭間村と鳴海村の間に新たな村を開いたことに始まります。藩は知多郡全域に移住を呼びかけ、有松村が開かれました。当初は桶狭間村の一部でしたが、江戸時代初期に独立した村となりました。

有松村は、農作地が少なかったため、新たな産業として有松・鳴海絞りを奨励しました。この絞り染めは、有松に繁栄をもたらし、村は裕福になりました。有松は東海道の間の宿としても機能しましたが、実際には鳴海宿に近かったため、宿場町というよりも、絞り染めを製造販売する商工業の町として賑わいました。

1784年（天明4年）に有松村は火災で全焼しましたが、現在の古い町並みは、この火災後に再建されたものです。1984年（昭和59年）には名古屋市の「有松町並み保存地区」に指定され、1992年（平成4年）には町並みを構成する建物の一部が名古屋市の都市景観重要建築物等に指定されました。2016年5月20日には、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定され、2019年には日本遺産にも認定されています。これは、街道沿いの街並みとしては初の選定であり、有松が染織の町として高く評価されていることを示しています。

桶狭間の歴史

桶狭間村は、南北朝時代の1340年（興国元年・暦応3年）に南朝の落武者によって開拓されたと伝えられています。この地は、1560年（永禄3年）に織田信長が今川義元を討ち破った桶狭間の戦いの舞台として、その名を歴史に刻みました。

有松町の沿革

1340年（興国元年・暦応3年） - 桶狭間村が開拓される。
1608年（慶長13年） - 尾張藩が有松村を開拓。
1625年（寛永2年） - 有松村が桶狭間村から分立。
1784年（天明4年） - 有松村が火災で全焼。
1889年（明治22年） - 町村制施行により、有松村が発足。
1892年（明治25年） - 有松村が町制施行し、有松町となる。
1964年（昭和39年） - 有松町が名古屋市緑区に編入される。

交通

名古屋鉄道名古屋本線：有松駅

名所・旧跡

有松天満社
桶狭間神明社
慈雲寺
祇園寺
桶狭間古戦場跡（桶狭間古戦場公園）

祭礼

有松天満社秋季大祭

有松町は、絞り染めの歴史と桶狭間の戦いの舞台という、二つの魅力を持つ地域です。その歴史的な町並みは、訪れる人々に豊かな文化と歴史を感じさせてくれるでしょう。

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