有毒有鱗類

有毒有鱗類（Toxicofera）

有毒有鱗類は、近年の分子系統解析によってその単系統性が強く支持されている爬虫類のクレードです。このグループには、ヘビ亜目（Serpentes）、イグアナ亜目（Iguania）、オオトカゲ下目（Anguimorpha）などが含まれており、現生有鱗目の約60％にあたる4,600種もの多様な種が存在します。特筆すべきは、この系統群に全ての毒を持つ爬虫類が含まれる点です。ただし、毒を持たない種も多数存在します。

系統

有毒有鱗類の系統は以下の通りです。

ヘビ亜目 (Serpentes)：多様なヘビ類が含まれます。
イグアナ亜目 (Iguania)：イグアナ、カメレオンなどが含まれます。
オオトカゲ下目 (Anguimorpha)：以下の科から構成されます。
オオトカゲ科 (Varanidae)：オオトカゲ類が含まれます。
アシナシトカゲ科 (Anguidae)：アシナシトカゲなどが含まれます。
ドクトカゲ科 (Helodermatidae)：ドクトカゲが含まれます。
シナワニトカゲ科 (Shinisauridae)：シナワニトカゲが含まれます。
コブトカゲ科 (Xenosauridae)：コブトカゲが含まれます。

この系統群には、現生種だけでなく、絶滅したグループも含まれます。

形態的特徴

有毒有鱗類を特徴付ける明確な形態的特徴はほとんどありません。しかし、分子系統解析の結果は、このグループの単系統性を常に支持しています。つまり、遺伝的なレベルでの共通性があることが示唆されています。

毒の進化

毒を持つ爬虫類として知られるのは毒ヘビですが、オオトカゲ類やイグアナの一部にも毒腺を持つ種が存在します。分子系統解析によれば、有鱗類における毒は、各系統で独立に進化したのではなく、有毒有鱗類の共通祖先の段階ですでに毒腺を備えていたと考えられています。その後、特定の系統群では毒腺が失われたり、別の系統群では毒の性質がより洗練されたりするなど、多様な進化を遂げたと考えられます。

したがって、有毒有鱗類の毒は、共通祖先から受け継がれた形質であり、その後の進化の過程で多様化したと解釈できます。

有毒有鱗類は、その多様性と毒の進化という興味深い側面を持つ、爬虫類の中でも特に注目すべきグループです。

もう一度検索