有田謙二

有田 謙二（ありた けんじ）

有田謙二は、1946年に北海道空知郡滝川町（現在の滝川市）に生まれた日本のチェスプレーヤーです。彼は国内チェス界の第一線で活躍するとともに、多数の著作を通じてその普及に貢献しました。

競技者としてのキャリア

1967年にチェスを始めた有田は、短期間でその頭角を現しました。国際舞台においては、チェスプレーヤーにとって最も栄誉ある大会の一つであるチェス・オリンピアードに、日本代表として二度出場しています。初出場は1970年、西ドイツ（当時）のジーゲンで開催された第19回大会で、ここでは2勝2引き分け7敗の成績を収めました。続いて1974年には、フランスのニースで開催された第21回大会に出場し、こちらは4勝3引き分け4敗と、前回大会を上回る成績を残しています。また、国内においては1975年に開催された関東チャンピオンシップで優勝するなど、有力なプレーヤーとして知られていました。

著作活動とチェス普及

有田謙二の功績は、競技者としての活動に留まりません。彼は、河出書房新社から1976年から1980年にかけて刊行された『チェス・マスター・ブックス』シリーズにおいて、中心的な役割を果たしました。全6冊からなるこのシリーズのうち、彼は以下の3冊を自ら執筆しました。

『チェス・マスター・ブックス 1 定跡と戦い方』
『チェス・マスター・ブックス 5 やさしい実戦集』
* 『チェス・マスター・ブックス 6 チェス小百科』

さらに、フレッド・レインフェルド著の『チェス・マスター・ブックス 3 チェックメイトの手筋』では翻訳を担当し、シリーズの出版に深く関わりました。

『チェス・マスター・ブックス』シリーズは、日本のチェス学習者にとって重要な入門書・参考書となり、長く読まれ続けました。そのため、1995年から1996年にかけて改訂版が、そして2010年から2011年にかけて新装版が刊行されています。改訂版は初版と同じく全6冊で出版されましたが、新装版では『6 チェス小百科』がシリーズから外され、全5冊での刊行となりました。

有田の著書は版を重ね、日本の多くのチェスファンに知識と戦略を伝える役割を果たしました。彼の明確で分かりやすい解説は、初心者から中級者まで、幅広いレベルのプレーヤーに支持されました。

近年の状況

1990年代以降は、プレーヤーとしての第一線での目立った活動は確認されていません。しかし、2010年に刊行された『チェス・マスター・ブックス 1 定跡と戦い方』の新装版に寄せた「はじめに」の中で、彼は「チェスへの情熱に変わりはなく、若い強豪選手達の活躍を喜んでおります」と述べており、チェスに対する深い愛情と、後進プレーヤーへの温かい眼差しを持ち続けていることがうかがえます。

有田謙二は、競技者、著者、翻訳者として、日本のチェス界の発展と普及に多大な貢献をした人物と言えるでしょう。

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