有科珠々

有科 珠々（ありしな じゅじゅ）は、1963年5月12日に兵庫県神戸市で誕生した、舞踏家および振付家です。彼女は独自の身体訓練法である「有科メソード」を確立し、ダンスカンパニー射干（NUBA）を主宰しています。現在はフランスのパリに活動拠点を置いています。

有科氏のキャリアは、1982年から1984年にかけて京都で活動していた舞踏集団、白虎社に加わったことから始まります。その後、1990年には東京で自身のダンスカンパニー射干（NUBA）を設立しました。このカンパニーと共に、彼女は日本国内に加え、アメリカ、中近東、そしてヨーロッパと、国際的な活動を展開していきます。

1996年には、東京・六本木のストライプハウス美術館にて、写真展、公演、そしてワークショップを含む大規模な「有科珠々展」が開催され、注目を集めました。1998年にはフランスへと活動の場を移し、NUBAを再始動させ、パリを拠点とした創作活動と公演活動を本格化させます。

国際的な舞台での活躍も特筆されます。2004年にはパリのパレ・デ・コングレで開催された国際会議の終幕式において、シラク元フランス大統領をはじめとする各国の要人が見守る中、20名の多国籍ダンサーの振付を手がけ、自らも実演を行いました。また、2005年にはニューカレドニアでの公演を実現させ、同国に初めて日本の舞踏を紹介する先駆者となりました。教育分野にも携わり、2007年にはアメリカのオハイオ州にあるデニソン大学でダンス科の助教授として教鞭をとっています。

彼女が長年追求してきた身体訓練法である「有科メソード」は、書籍としても世に送り出されています。2010年に日本では新水社から『パリ発・踊れる身体』が出版され、2013年にはそのフランス語版『Le corps prêt à danser』がL'Harmattanよりフランス全土で刊行されました。さらに2015年には英語版『Butoh Dance Training』がJessica Kingsley Publishersからイギリスおよびアメリカで出版され、彼女のメソッドは世界中のダンス実践者や研究者に知られるところとなりました。

2021年、Covid19パンデミックによるフランス全土のロックダウンという状況下においても、有科氏は先駆的にオンラインでの舞踏クラスを開始しました。これは舞踏という身体芸術が、物理的な制約を超えて伝達されうる新たな可能性を示す試みとなりました。

彼女がこれまでに発表した主な上演作品は以下の通りです。

1990年「ぬばたまの」
1991年「ひさかたの」
1992年「ちはやぶる」
1993年「あまつかぜ」
1994年「たまほこの」
1995年「盲人の瞬き」
1998年「原因から結果へ」
2001年「砂糖まみれの手」
2002年「暗中の無」
2003年「枕刀」
2004年「不在」
2006年「黄金の空」
2007年「犬の法則」
2009年「泡の中の眠り・夢遊病者」
2010年「欲望」
2012年「甘獣」
2014年「ブレミン」
2015年「森中の咆哮」
2016年「浮世」
2017年「俳句」
2018年「福島の蝶」（ケンジ・イジドー短編映画）
2019年「三羽奏」
2020年「現身」
2021年 「孤独の合唱曲」

これらの活動は、週刊新潮、Figaro紙、朝日グラフ誌、Japan Times紙、Les saisons de la danse誌、Tribune紙、神戸新聞、マガジンハウス TARZAN誌、Figaro Scope、A propos du Japon誌、FEU誌など、国内外の様々なメディアで紹介されています。

著書としては前述の身体メソッドに関する著作の他、以下のものがあります。

『パリ発・踊れる身体ー有科メソードによるダンスの実践と指導』（新水社、2010年）ISBN 9784883851249
『Le corps prêt à danser (踊れる身体のフランス語版)』（L'Harmattan、2013年）ISBN 978-2-336-29006-5
* 『Butoh Dance Training (踊れる身体の英語版)』（Jessica Kingsley Publishers、2015年）ISBN 978-1-84819-276-8

有科珠々氏は、その独自の舞踏表現と身体メソッドを通して、舞踏の可能性を追求し続け、国際的な文化交流においても重要な役割を果たしています。ダンスカンパニーNUBAの公式サイトにて、彼女の活動の最新情報が公開されています。

ダンスカンパニーNUBA公式サイト

もう一度検索