有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律

有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律について

有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律（昭和26年法律第135号）は、かつて存在した有線ラジオ放送を規制するための日本の法律です。この法律は、有線放送事業の運営に関する様々な規定を設け、放送事業の健全な発展を目指していました。しかし、2011年の放送法改正に伴い、他の関連法とともに廃止され、その役割を終えました。

制定の背景と初期の規定

この法律は、1951年（昭和26年）4月5日に公布されました。当初の名称は「有線放送業務の運用の規正に関する法律」であり、有線放送を以下のように定義していました。

1. 区域内再送信: ある区域内で、公衆が直接聴取することを目的として、受信した放送を有線電気通信設備によって再送信すること。
2. 区域内音声送信: ある区域内で、公衆が直接聴取することを目的として、音声などを有線電気通信設備によって送信すること。

この法律の下では、有線放送事業を営むためには、電波監理委員会（後に郵政大臣）への届出が義務付けられていました。

1972年の改正

1972年（昭和47年）には、法律の名称が「有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律」と改められ、有線ラジオ放送の定義も以下のように変更されました。

1. ラジオ放送の区域内再送信: 区域内で公衆が直接受信することを目的として、ラジオ放送（音声、文字、図形などを含む）を受信し、有線電気通信設備で再送信すること。
2. 音声の区域内送信: 区域内で公衆が直接聴取することを目的として、音声などを有線電気通信設備で送信すること。
3. 公共空間での音声送信・再送信: 道路、広場、公園など公共の場所で、公衆が直接受信することを目的として、音声などを有線電気通信設備で送信、またはラジオ放送を受信して有線電気通信設備で再送信すること。

この改正により、有線ラジオ放送事業を営む者は、郵政大臣（後に総務大臣）への届出が必要となりました。この改正は、ケーブルテレビの普及に対応するためのもので、有線テレビジョン放送法と合わせて、より包括的な放送規制を目指したものでした。

ケーブルテレビの普及と関連法の制定

ケーブルテレビの普及に伴い、これを規制するための法律として有線テレビジョン放送法が制定されました。この法律と有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律は、1973年（昭和48年）から施行されました。これにより、有線放送事業はより詳細な規制を受けることになり、放送サービスの質と多様性の向上が図られました。

廃止とその背景

2010年（平成22年）11月26日、第176回国会で放送法の改正が成立しました。この改正により、約60年ぶりに放送関連の法令が大幅に統廃合されることになり、有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律、有線テレビジョン放送法、電気通信役務利用放送法は、放送法に吸収統合されました。

この改正された放送法は、2011年（平成23年）6月30日に完全施行され、同時にこれらの旧法は廃止されました。これにより、放送事業に関する規制が一元化され、より効率的な運用が目指されることとなりました。有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律は、その歴史的役割を終え、新たな放送法の下でその精神は引き継がれています。

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