有野芳人

有野芳人：地道な努力と多彩な戦術が光る棋士人生

有野芳人氏は、1948年9月9日生まれの将棋棋士です。東京都大田区出身で、1965年に奨励会に入会。下平幸男八段門下として、10年間の研鑽を積み重ねました。

プロへの道：8連勝と若獅子戦優勝

奨励会時代、有野氏は地道な努力を続けました。そして、1975年10月～11月、三段で8連勝の快挙を達成。27歳という年齢でプロ棋士の仲間入りを果たします。この活躍は、有野氏の才能と努力を証明するものでした。さらに、1971年には第1回奨励会若獅子戦で優勝するなど、早くから頭角を現していました。

順位戦と竜王戦：着実な歩みと惜しまれる引退

プロ入り後は、順位戦に参戦。第36期（1977年度）からC級2組で戦い始めましたが、C級1組への昇級は叶わず、第49期（1990年度）に降級点を喫して引退を決意します。42歳での引退は、多くのファンにとって残念な決断だったでしょう。順位戦における通算勝率は4割という記録を残しました。

一方、竜王戦では、5組からスタート。一度は降級の危機に瀕しましたが、残留決定戦を制し、引退まで4年間、そのクラスに留まりました。

棋風：多彩な戦術と粘り強い戦い

有野氏の棋風は、居飛車、振り飛車ともに幅広く、多様な戦術を駆使することが特徴でした。中でも矢倉を採用するケースが多く見られました。持ち前の粘り強さと、じっくりと相手の隙を突く「足を止めてのパンチの応酬」といったスタイルで知られていました。

引退後の人生：新たな挑戦

引退後は、雀荘のオーナーとして第二の人生を歩み始めました。さらに、2009年には文化庁文化交流使として中国に派遣され、約2ヶ月半にわたって活動。棋士としての経験とは異なる分野での活躍も印象的です。

昇段履歴と主な成績

1965年：奨励会入会（6級）
1975年：プロ入り（四段）
1982年：「将棋の日」表彰により贈五段
1991年：引退
1994年：「将棋の日」表彰により贈六段
2011年：引退棋士規定により七段

主な成績としては、通算成績142勝270敗、第1回奨励会若獅子戦優勝があります。

まとめ

有野芳人は、地道な努力と独自の棋風で将棋界に貢献した棋士です。42歳という年齢での引退は早かったものの、その後のセカンドキャリアでも積極的に活動し、多様な才能を発揮しました。彼の棋士人生は、努力の大切さと、人生における新たな挑戦の勇気を教えてくれる好例と言えるでしょう。

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