有間川

有間川地区：歴史と文化、そして現代の課題

はじめに

新潟県上越市西部に位置する有間川地区は、古くから桑取川の河口に発達した宿場町として栄えてきました。険しい地形と豊かな自然に恵まれたこの地は、歴史の変遷の中で幾多の出来事を経て、現代へとつながっています。本稿では、有間川地区の歴史、交通、産業について詳細に解説します。

歴史：宿場町としての栄華と変遷

有間川の地名は、1488年（長享2年）に萬里禅師が著した『梅花無盡蔵』に初めて登場します。同書には、有間川が険しい地形であることが記されており、当時の様子がうかがえます。江戸時代の『正保御国絵図』には、桑取川を挟んで長浜とともに街道の宿場として描かれており、交通の要衝として重要な役割を担っていたことが分かります。また、『越後國細見大繪圖』（天保13年）には「有馬川」と記されています。

徳川幕府時代には高田藩の行政区画として「有間川村」と呼ばれ、明治時代には谷浜村に属しました。明治34年には谷浜村と和泉村が合併し、役場が有間川に移転。その後、昭和30年には直江津市と合併し、昭和46年には高田市との合併により上越市の一部となりました。現在も上越市大字有間川として、その歴史と文化を受け継いでいます。

交通：北陸街道とバス路線

中世には北陸街道が春日山城と京を結ぶ重要な道路として機能し、江戸時代には加賀街道とも呼ばれるようになりました。有間川と谷浜の境には、天保4年（1833年）に建立された石地蔵と道標が現存しており、「右加賀みち」「左くはどりみち」と刻まれています。また、かつては加賀藩主の命により植えられたとされる松の大木が海岸沿いに立ち並んでいたと伝えられています。

明治19年（1886年）の大改修を経て、現在の国道8号の大まかな道筋が形成されました。昭和3年には道路拡幅工事が行われましたが、工事中の事故により殉職者が出たという悲しい歴史も刻まれています。

鉄道では、昭和21年に北陸線有間川駅が開業しましたが、桑取谷地区の交通問題を完全に解決するには至りませんでした。このため、昭和25年に谷浜村と桑取村の村長が頸城鉄道（現在の頸城自動車株式会社）にバス運行を要望。道路整備を経て、昭和27年4月10日にバス運行が開始されました。現在も直江津～桑取湯ったり村間で運行されていますが、自家用車の普及により利用者数は減少傾向にあります。

国道8号については、昭和37年から昭和38年にかけて有間川バイパス工事が行われました。この工事は、集落内を通る未舗装の国道による砂塵問題を解決するためのものでした。建設費は1mあたり約20万円と高額でしたが、日本海側縦貫道として重要な道路であるため、工事が迅速に進められました。

産業：漁業と農業

有間川地区の主要産業は漁業です。有間川漁港を中心とした刺し網漁が盛んで、他に採藻や採貝も行われています。近年は密漁が問題となっており、漁協や地元町内会は頭を悩ませています。桑取川では、季節に応じて白魚（いさざ）、鮎、鮭の漁が行われ、観光客にも人気です。農業も営まれており、地域住民の生活を支えています。

まとめ

有間川地区は、歴史と自然が織りなす魅力的な地域です。古くからの宿場町としての歴史、険しい地形を克服した交通網の整備、そして現在進行形の漁業と農業。これらの要素が複雑に絡み合い、現在の有間川地区を形成しています。今後も、歴史と自然環境を活かしつつ、地域住民が主体的に未来を築き上げていくことが重要となるでしょう。

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