有限責任会社

有限責任会社：グローバルな視点

有限責任会社とは、出資者の責任がその出資額に限定される会社形態です。その起源はイギリスに遡り、現代では世界各国で類似の制度が採用されています。本稿では、有限責任会社の概念、イギリスをはじめとする各国の制度、そして日本の合同会社との関係性について解説します。

イギリスにおける有限責任会社

イギリスでは、2006年会社法において、会社は構成員の責任の範囲に基づき、有限責任会社と無限責任会社に分類されます。有限責任会社はさらに、責任の限定方法によって、以下の2種類に分けられます。

株式有限責任会社 (Company limited by shares): 構成員の責任は保有株式の額に限定されます。これは最も一般的な有限責任会社の形態です。
保証有限責任会社 (Company limited by guarantee): 構成員の責任は、会社設立時に約束した金額に限定されます。非営利団体などでよく利用されます。

また、イギリスでは会社を、公開会社と私会社に分類しますが、公開会社は必ず有限責任会社であると規定されています。

イギリス法の影響を受けた国の制度

イギリスの会社法は、多くの国々に影響を与え、類似の制度が採用されています。例えば、オーストラリアとシンガポールでは、イギリスと同様の株式有限責任会社と保証有限責任会社に加え、両方の要素を組み合わせた「株式保証有限責任会社 (Company limited both by shares and guarantee)」という形態も存在します。これは、株式による出資と、出資者による保証責任を併せ持つ形態です。

その他の国における有限責任会社

アメリカ合衆国では、「リミティッド・ライアビリティ・カンパニー (LLC)」が有限責任会社に相当します。LLCは、パートナーシップと株式会社の要素を併せ持つ柔軟な形態として知られています。

その他、台湾の「有限公司」、中国の「有限責任公司」、ベトナムの「công ty trách nhiệm hữu hạn」、ロシアの「Общество с ограниченной ответственностью」など、世界各国で「有限責任会社」または類似の名称を持つ会社形態が存在し、それぞれ独自の制度設計がなされています。

日本の合同会社との関連性

日本の合同会社は、LLCをモデルとして導入された会社形態です。出資者の責任がその出資額に限定される点で有限責任会社と共通しますが、株式会社とは異なる運営形態を採用しています。合同会社は、柔軟な運営形態と設立の容易さから、近年増加傾向にあります。

まとめ

有限責任会社は、出資者の責任を限定する制度として、世界各国で広く採用されている重要な会社形態です。その形態や制度設計は国によって異なりますが、いずれも出資者のリスク軽減という共通の目的を持っています。本稿では、有限責任会社の概要と各国の制度、そして日本の合同会社との関連性について解説しました。今後も、グローバルな経済状況の変化に応じて、有限責任会社を取り巻く制度環境は変化していくと考えられます。

もう一度検索