有馬クリスタルビル

有馬クリスタルビル：有馬温泉の新たな玄関口

有馬クリスタルビルは、兵庫県神戸市にある有馬温泉駅に併設された駅ビルです。1989年（平成元年）10月31日に開業し、それまで親しまれていたアール・ヌーヴォー調の旧有馬温泉駅舎に代わる、有馬温泉の新たなシンボルとして誕生しました。

歴史と背景

旧有馬温泉駅舎は1928年（昭和3年）に開業。ホテルや食堂が併設されるなど変遷を経ていましたが、晩年にはノスタルジックな外観から観光客や地元住民に愛されていました。有馬クリスタルビルは、この旧駅舎の代替として、地域の活性化を目指して計画・建設されました。

建物の概要

鉄筋コンクリート造りの2階建てで、バス乗り場側はハーフミラーで覆われたモダンな外観が特徴です。ブルーとホワイトを基調としたタイル張り、アクセントカラーに赤を用いた洗練されたデザインとなっています。

1階には、駅コンコースや駅施設の他に、売店、神鉄タクシー乗り場、太閤の湯（旧・有馬ヘルスセンター）の送迎バス乗り場などが配置されています。売店は、2005年（平成17年）3月15日より和菓子ショップ「きんせん堂」となっています。

2階には、落ち着いた雰囲気の茶室や喫茶店といった、くつろぎの空間が設けられています。

2階の主な施設

茶室「大有庵」:本格的な茶室で、1989年（平成元年）10月31日には裏千家名誉教授の山藤宗山氏による茶室抜きの儀式が行われました。開業当初は、神戸電鉄への申込により利用可能でした。
喫茶「有馬茶房」: 開業当初は「有明」という名称で、うどんや丼物などを提供する和風喫茶として営業。有馬ビューホテルが経営していましたが、2005年（平成17年）3月15日より現在の名称と経営体制に変更されました。喫茶店隣には、小ホール「スプリングホール」も併設されています。

有馬温泉キャンペーン

有馬クリスタルビルの開業を機に、1989年（平成元年）秋より「ジョイフル有馬」キャンペーンがスタートしました。紅葉シーズンに合わせて毎年開催されるこのキャンペーンは、年間約3万人の観光客を呼び込み、有馬温泉の誘客に大きく貢献しています。

キャンペーン開始当初は、駅員手作りのポスターや、「ジョイフルチケット」（割引乗車券と温泉施設割引券のセット）の販売などが行われていました。1994年（平成6年）からは囲碁大会も開催されるようになり、人気を博しました。神戸電鉄の列車には、「ジョイフル有馬」のヘッドマークが装着され、キャンペーンを盛り上げています。過去には宝樹芽里さんや野田浩司さんなど、著名なタレントをゲストに迎えたこともあります。

2018年（平成30年）からはキャンペーン名称を「JOYFUL ARIMA 食浴の秋“有馬”」に変更。2020年（令和2年）と2021年（令和3年）は中止されましたが、2022年（令和4年）からは「恋たび有馬」として2年ぶりに復活。恋活列車の運行や告白スポットの設置など、新たな試みが加わっています。

有馬クリスタルビルは、有馬温泉の玄関口として、観光客に快適な滞在を提供するとともに、地域の活性化に貢献する重要な役割を担っています。今後も、魅力的な施設やイベントを通して、有馬温泉の魅力を発信し続けることが期待されます。

もう一度検索