服間村

服間村（ふくまむら）

服間村（ふくまむら）は、かつて福井県今立郡に存在した村です。現在の越前市域の北東部に位置し、山々に囲まれた自然豊かな地域でした。明治時代の町村制施行に伴い多くの村が合併して誕生し、昭和中期の広域合併によりその歴史を終えました。

地理

服間村の領域は、八幡山、高雄山、権現山といった山々に囲まれた、比較的起伏のある地形が特徴でした。これらの山々からは清流が生まれ、村内を流れる主要な河川である服部川に注ぎ込んでいました。服部川は、古くから地域の生活用水や農業用水として利用され、村の人々の暮らしや田畑を潤す重要な存在でした。

歴史

服間村の歴史は、明治時代の大規模な行政改革である町村制の施行に始まります。1889年（明治22年）4月1日、それまで独立した村として存在していた今立郡内の市野々、柳、炭焼、赤谷、南中、大谷、殿、長谷、北坂下、室谷、高岡、朽飯、藤木、領家、東樫尾、春山、波垣、寺地、横住、清根、相ノ木、そして西河内といった多くの小さな集落が一つに統合され、新たな行政単位として服間村が発足しました。この合併により、地域の行政機能が集約され、近代的な村の運営が始まりました。

村の歴史においては、厳しい自然災害も記録されています。特に1927年（昭和2年）2月10日には、記録的な豪雪に見舞われました。この豪雪の影響で、特に室谷地区では大規模な雪崩が発生し、民家2棟が押し流されるという痛ましい被害が発生しました。この災害により、尊い3名の命が犠牲（死者・行方不明者）となりました。

第二次世界大戦後、全国的に町村合併が進む中で、服間村もその流れの中にありました。1955年（昭和30年）3月31日、隣接する粟田部町および南中山村と合併し、新制の粟田部町が発足したことにより、服間村はその歴史に幕を閉じました。約66年間の村としての歩みを終え、新たな広域行政単位の一部となったのです。

経済

この地域において、人々は主に農業を営んで生活の糧としていました。豊かな自然環境のもと、米作などを中心とした農業が村の基盤産業として栄えていました。特に服間村では、伝統的な農法に加え、新しい技術や品種の導入に積極的な篤農家が多く活躍していたことが特筆されます。1910年（明治43年）に編纂された『大日本篤農家名鑑』には、山田權藏氏、若泉孝治郎氏、飯田治左衛門氏をはじめとする、当時の服間村を代表する多くの篤農家の名前が列挙されており、彼らが地域の農業生産性の向上や経営の近代化に貢献し、村の経済を支えていた様子がうかがえます。

服間村として存在した期間は約66年間でしたが、この間に地域の行政基盤が確立され、農業を中心に人々が生活を営んでいました。現在は越前市の一部として、その歴史を静かに伝えています。

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