朗読演奏実験空間 新言語秩序

朗読演奏実験空間 新言語秩序

amazarashiによる特別なライブ体験『朗読演奏実験空間 新言語秩序』は、2018年11月16日に日本武道館で開催されました。この公演は、彼ら自身初の武道館ライブという重要な意味を持ち、翌年の3月27日にはDVDとBlu-rayが発売され、大きな話題を呼びました。

このプロジェクトは、ただのライブ公演に留まらず、音楽CD、アプリ、現地のパフォーマンスという複数のメディアを組み合わせた新しい形の表現を目指しました。ファンから高く評価され、その独自性から数多くの賞も受賞しています。

公演の概要

公演は2018年5月26日に発表され、10月9日にタイトルが『朗読演奏実験空間 新言語秩序』に決定されました。メンバーの秋田ひろむは、この公演を「僕らが今できる表現を全て注ぎ込んだ記念碑」とし、表現することへの息苦しさから生まれたプロジェクトだと語っています。この公演のテーマは「言葉」であり、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』から大きな影響を受けている点も特徴です。

公演前の11月7日には、「リビングデッド」がリリースされ、これがライブのテーマ曲となりました。このシングルに収録された曲は、全て「言葉」をテーマにしています。また、ミュージックビデオは、映画『1984年』の「再教育」のシーンをイメージし、表現の自由について問題提起しています。

公演の前日には、東京都内でシークレットゲリラショップがオープンし、秋田ひろむがデザインした商品の販売が行われました。特に目を引いたのは、歌詞をプリントしたTシャツや、メッセージがデザインされたマスクなど、限定アイテムです。これらは『1984年』に登場する洗脳部屋「101号室」にちなむもので、特別感を演出しました。

体験型ライブの独自性

ライブ当日は、巨大な4面LEDが設置されたステージ上で、観客とのインタラクションが生まれる仕掛けが施されました。特に興味深い点は、アプリ「新言語秩序」を使って参加することで、観客がスマートフォンをステージに向けると、バックライトが連動するという体験型の演出です。これにより、観客はただ鑑賞するだけでなく、ライブに積極的に関与する形となりました。

また、「独白」と題された楽曲では、初めて検閲解除バージョンが披露され、主人公「実多」が自身の感情を率直に語るシーンが描かれました。公演終了後には、限定のライブビューイングやディレイビューイングも行われ、全国の映画館で盛り上がる機会を提供しました。

アプリ『新言語秩序』とその意義

公演に先立ち、2018年10月23日にはアプリ『新言語秩序』が公開されました。このアプリでは、秋田ひろむが書き下ろした物語を体験できる仕組みで、内容は社会における言葉の価値や検閲について考察するものです。アプリには、言葉の検閲をテーマにした4章からなる物語が収録され、ユーザーが検閲を解除することで物語が展開していく形式が採用されています。

このように、amazarashiの『朗読演奏実験空間 新言語秩序』は、音楽とストーリー、そして観客とのインタラクションを融合させた新しい形の表現を追求したプロジェクトであり、彼らのアートに対する姿勢を象徴する重要な作品だと言えます。

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