望厦条約

望厦条約（Treaty of Wanghia）

望厦条約は、1844年7月3日に清（当時の中国）とアメリカ合衆国の間で締結された、両国間の最初の条約です。この条約は、アヘン戦争後の清が欧米列強との間で結んだ一連の不平等条約の一部として位置づけられます。

背景

アヘン戦争でイギリスに敗北した清は、南京条約をはじめとする一連の不平等条約を結び、イギリスに多くの権益を譲歩しました。これを受けて、アメリカもイギリスと同様の権益を清に求めました。清は当初、「一視同仁」の原則に基づき、アメリカに最恵国待遇を認めましたが、アメリカはこれを条約によって明確化することを要求しました。

条約締結

このような背景のもと、1844年7月3日にマカオ郊外の望厦村で米清両国の交渉が行われ、修好通商条約が締結されました。これが望厦条約と呼ばれるものです。アメリカ側の代表はケイレブ・クッシング、清側の代表は耆英でした。

条約の内容

望厦条約の内容は、基本的には清がイギリスとの間で締結した南京条約などで認められた事項をまとめたものでした。しかし、実際には領事裁判権制度の整備や、荷物の積み下ろしに関する特権の拡大など、アメリカにとって有利な条項も含まれていました。これにより、アメリカは中国において、イギリスと同等以上の権益を確保することに成功しました。

その後の影響

望厦条約の締結後、同年10月には清とフランスの間で黄埔条約が結ばれました。これにより、列強各国による中国への進出が本格化し、中国は半植民地化への道を歩むことになります。

望厦条約は、その後の中国の歴史に大きな影響を与えた条約の一つと言えるでしょう。不平等条約体制の確立を促し、列強による中国分割の足がかりとなりました。

まとめ

望厦条約は、19世紀半ばの東アジアにおける列強の勢力拡大を示す象徴的な出来事です。アヘン戦争後の中国が、欧米列強の圧力に屈し、不平等な条約を結ばざるを得なかったという歴史的事実を物語っています。

参考
望厦条約 - コトバンク
望厦条約 - 世界の歴史まっぷ

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