朝一番!SBSニュースワイド

静岡放送（SBS）で1985年（昭和60年）4月から1989年（平成元年）9月にかけて放送された『朝一番!SBSニュースワイド』は、早朝の時間帯に焦点を当てたローカル報道番組でした。

当時のSBSでは、夕方のローカルニュース番組『SBSテレビ夕刊』が放送されており、1984年（昭和59年）4月からは土曜日にも放送枠を広げるなど、自社制作による報道番組の拡充に力を入れていました。このような流れの中で、『朝一番!SBSニュースワイド』は、まだ開拓が進んでいなかった早朝の視聴者層を取り込むとともに、24時間報道体制の構築に向けた第一歩、そしてニュースの新しい時代の幕開けとして企画されたものです。番組開始当初は、早朝にローカルのニュースワイド番組を設けるという試みが全国的にも珍しく、他の放送局からも注目を集めたとされています。

放送時間は午前6時台の前半（6:00から6:29）に設定され、番組終了後には一旦CMを挟んで、キー局TBSから送られる『JNNおはようニュース&スポーツ』に接続する形が取られていました。当時のTBSでは、この時間帯に純粋な報道番組ではないバラエティ要素を含む番組（『砂川啓介 いま!朝です』、後に『ドーナツ6』）が放送されていたため、SBSは自社でローカルニュースワイド番組を制作・放送する選択をしました。

番組は約4年半にわたって放送されましたが、「時代の変化に対応し、ニュース内容によりグローバルな視点が求められるようになった」ことを理由に、1989年秋の番組改編をもって終了しました。番組終了後、この時間帯の放送はTBSからのネットワーク番組である『地球!朝一番』へと切り替えられました。

番組の進行は、SBSの男性アナウンサーが一人で担当していました。ニュース以外の情報としては、気象予報士が不定期で出演し、天気に関する解説を行いました。また、経済情報については、野村證券のニューヨーク駐在員と電話をつなぎ、現地の経済状況やニューヨーク証券取引所のダウ平均終値などをリポート・解説してもらうコーナーが設けられていました。

ニュース素材としては、前夜に放送されたJNNニュースを録画しておき、音声を消去した映像にSBSのアナウンサーがナレーションをつける形で伝えられました。スポーツニュースも同様の手法が用いられていました。静岡県内の最新情報は、独自に取材した映像で放送されたほか、前日に放送された夕方のローカルニュース『SBSテレビ夕刊』で評判の良かった特集や企画の一部が再放送されることもありました。さらに、健康体操といった当番組独自のVTR企画も制作・放送されていました。地方局のローカルニュースワイド番組としては異例ともいえる野村證券ニューヨーク駐在員による経済コーナーがあった背景には、野村證券がこの番組の準筆頭スポンサーであったことが挙げられます。

主な出演者としては、当時SBSアナウンサーであった國本良博氏が1986年10月から番組終了まで水曜日から金曜日を担当し、今村政司氏が月曜日と火曜日を担当しました。

番組は、当時のSBS本社Aスタヂオから放送されていました。キー局であるTBSが報道スタジオを改装した際には、SBSのセットも一部変更が加えられ、セット部分にアクリルの格子天井を設置するなど、TBSの新しいスタジオの雰囲気に合わせたイメージづくりが行われました。その後もTBSのセットデザインの変更に伴い、背景がシルバーの壁に世界地図が描かれたシンプルなデザインへと変わっていきました。

番組放送中のエピソードとして、1988年8月12日の放送で、キャスターを務めていた國本良博氏がニュースを読んでいる最中に鼻血を出してしまった出来事があります。この映像は、過去にJNN系列で放送されたNG集の特別番組で何度も放送されました。ある週刊誌でもこのアクシデントが取り上げられ、実際の放送から20年近く経った頃に再び話題になったこともありました。

もう一度検索