朝倉虎治郎

朝倉虎治郎の生涯

朝倉虎治郎は、1871年（明治4年）に愛知県碧海郡旭村（現在の碧南市）で生まれました。幼名は杉浦虎治郎といい、杉浦家の次男として生を受けました。小学校を5年で中退した後、東京の材木店で働き始め、その後、朝倉家の婿養子となり、家督を継ぎました。

1897年に朝倉たきと結婚し、1899年に朝倉家の家督を相続しました。当初は精米業を営み、「丸朝商店」として事業を展開していました。その後、1904年に養父である徳次郎の跡を継ぎ、渋谷町会議員に選出され、政治の世界へと足を踏み入れました。

1915年には東京府会議員に選出され、以降は家業を弟の朝倉八郎に任せ、政治活動に専念しました。東京府会では郡部会議長、府会議長などを歴任し、その手腕を発揮しました。また、東横乗合自動車、中央酒造、北海道証券取引所の監査役も務め、多方面で活躍しました。

朝倉虎治郎は、貴族院多額納税者議員選挙の互選資格を持つなど、社会的な地位も確立していました。書画を趣味とし、東京市渋谷区猿楽町に居を構え、青山霊園に眠っています。

1923年には紺綬褒章を受章し、1922年には渋谷町の道路敷地として土地を寄付するなど、社会貢献にも熱心でした。

朝倉家の系譜

朝倉家は、徳次郎の代から米穀問屋を始めたとされています。虎治郎の養父である徳次郎は、農民、地主、米屋、政治家（渋谷村会議員）、水車業を営んでいました。妻のたきは愛国婦人会渋谷支部の幹事を務めていました。

虎治郎の養子である誠一郎は、慶應義塾大学経済学部を卒業後、朝倉精米所の取締役を務めました。また、誠一郎の妻ヒサは、北海道拓殖銀行取締役の馬島渡の娘です。誠一郎の息子である徳道は、朝倉不動産の代表取締役を務めています。

虎治郎の弟である八郎は、兄から家業を継ぎ、米穀商や東洋青物市場の社員として活躍しました。八郎もまた、書画や旅行を趣味とし、日蓮宗を信仰していました。八郎の息子である永三は、慶應義塾大学経済学部を卒業後、東京府米穀商業組合理事人事部長を務めました。

朝倉虎治郎の人物像

朝倉虎治郎は、実業家、政治家として成功を収める一方で、社会貢献にも熱心な人物でした。地域社会の発展に尽力し、多くの人々に貢献した人物として、その名が残っています。

また、書画を愛する文化人でもあり、その多才さが伺えます。

参考文献

『日本紳士録 第6版』交詢社、1900年。
人事興信所編『人事興信録』各年度版
織田正誠編『貴族院多額納税者名鑑』太洋堂出版部、1926年。
帝国秘密探偵社編『大衆人事録 第3版』帝国秘密探偵社、1930年。
『全国貴族院多額納税者議員互選人名総覧』銀行信託通信社出版部、1932年。
豊多摩時事新聞社編『渋谷区多額納税者名鑑』豊多摩時事新聞社、1933年。
交詢社編『日本紳士録』各年度版
婦人評論社編『日本婦人の鑑』婦人評論社、1934年。
慶応義塾編『慶応義塾塾員名簿 昭和17年版』慶応義塾、1924-1942年。
総理府賞勲局編『紺綬褒章名鑑 賞勲局百年資料集 大正8年〜昭和16年』大蔵省印刷局、1986年。
* 前田礼『ヒルサイドテラス物語 朝倉家と代官山のまちづくり』現代企画室、2002年。

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