紳士録

紳士録とは

紳士録は、社会的な地位のある人物の情報をまとめた名簿です。一般的に、氏名、住所、経歴、職業、趣味、家族関係などが記載されています。人名録や人名事典の一種であり、「名士録」とも呼ばれます。海外では「Who's Who」や「人名年鑑」として知られています。

概要

紳士録には、生年月日、出身地、最終学歴といった基本的な情報に加え、居住地、家族構成、趣味などの詳細な個人情報が掲載されることもあります。

世界で最初の紳士録は、1849年にイギリスのA.＆ C.ブラック社から刊行された『Who's Who』です。日本では、1889年（明治22年）に交詢社が発行した『日本紳士録』が最も古く、次いで1903年（明治36年）に人事興信所が発行した『人事興信録』があります。

しかし、紳士録の掲載料や解除料を要求する「紳士録商法」と呼ばれる詐欺行為や、2005年に施行された個人情報保護法の影響で、『日本紳士録』は2007年に休刊、『人事興信録』も2009年に廃刊となりました。

国際的な紳士録としては、アメリカのNew Communications inc.による『Marquis Who's Who』などが存在します。

日本紳士録

1889年（明治22年）、福沢諭吉の提唱により設立された社交団体「交詢社」が、納税額を基準に約2万3000人の著名人を掲載して発行を開始しました。巻末には、東京を中心とした職業別姓名録も付録されていました。3年後には、東京、横浜、京阪などの地域を含む約3万3000人を収録した第二版が出版され、その後も版を重ねました。

しかし、高山樗牛は、所得税を基準とした選出基準では、高利貸しや博徒も含まれてしまうとして、国民の拝金根性を露呈するものだと批判しました。

1971年（昭和46年）からは「交詢社出版局」が編集を引き継ぎ、2000年（平成12年）頃には掲載人数が過去最高の約14万人に達しましたが、2005年に紳士録を悪用した大型詐欺事件が摘発され、同年には個人情報保護法も施行されたため、掲載希望者が減少。2007年（平成19年）に第80版を最後に無期休刊となりました。

人事興信録

『人事興信録』は、明治35年に人事興信所を設立した初代内尾直二が、「広く人事調査の資料に供する」ことを目的として編纂、発行を開始しました。

2007年発行の第44版では、掲載人数は約8万人でしたが、3〜4年前から掲載を断る人が増え、10年前と比較して約3割減少したとされています。2009年に発行された第45版が最終版となりました。

『人事興信録』は、1948年の第15版の上下巻が国会図書館デジタルコレクションで閲覧できますが、戦後直後ということもありページ数が大幅に減少しています。戦前最後の版である1943年の第14版の方が、より豊富な情報が掲載されています。また、1928年の第8版は名古屋大学によってオンラインデータベース化されています。

関連項目

紳士録商法
英国人名辞典
ジョージア人名辞典
親日人名辞典
名簿業者
日外アソシエーツ
帝国データバンク
Who's Who (曖昧さ回避)

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