朝日新聞 (ニュースサイト)

朝日新聞（デジタル版）

朝日新聞は、株式会社朝日新聞社が運営する、日本を代表するデジタルニュース媒体です。インターネットが広く普及し始めた1995年に前身となる「asahi.com」として開設され、その後「朝日新聞デジタル」として発展し、現在はデジタル版の名称としても「朝日新聞」が用いられています。

サービスは、主に無料で最新ニュースを伝える「24時刊」と、紙面内容や詳細な分析記事などを提供する有料の「電子新聞」の二つの柱で構成されています。

沿革と変遷

asahi.comは、日本のインターネットの黎明期である1995年8月10日にスタートしました。当初は速報性を重視し、詳細な解説や評論は紙の新聞に掲載するなど、棲み分けが図られていました。ウェブサイトの運営はデジタルメディア本部が担いつつも、多くの記事配信は朝日新聞の編集部門が行う体制が築かれました。

サービス開始当初から、様々なオンラインサービスとの連携を深め、1999年にはgooへのニュース配信を開始しました。長らくYahoo!ニュースへの配信は見送られていましたが、2012年10月3日から配信を開始しています。この時期まで、利用者数ランキングでは他紙の後塵を拝していましたが、利用者一人あたりのページビューでは高い数値を記録しており、熱心な読者層を持つことが示唆されました。重大なニュースが発生した際には、ウェブサイトのページビューが飛躍的に増加し、特に東日本大震災発生時には、Yahoo!ニュースへの一時的な配信を通じて、それまでの数倍にあたる推定接触者数を記録し、国内の新聞社サイトの中でトップのページビューを獲得するに至りました。

asahi.comブランドは15年以上にわたり使用されましたが、2012年1月23日に「朝日新聞デジタル」へと名称が変更され、有料の電子新聞サービスと一体化されました。さらに同年4月1日のリニューアルで、無料の旧asahi.comページと有料版の「24時刊」が統合され、現在の「24時刊」の基礎が形成されました。その後、2025年1月28日には、デジタル版の名称そのものが「朝日新聞デジタル」から、紙版と同じ「朝日新聞」へと変更されています。ただし、紙版との区別が必要な場合には「朝日新聞（デジタル版）」といった表記が用いられることがあります。

有料電子新聞の展開

有料の電子新聞サービスは、従来の新聞購読者の減少傾向と、ウェブサイトの利用拡大を背景に、より充実したデジタルでのニュース提供を目指して2011年5月18日に「朝日新聞デジタル」として創刊されました（当初は無料期間を設定）。2011年8月から順次有料サービスへ移行しました。

このサービスは、紙の新聞や無料ニュースサイトの記事をベースとしつつ、デジタルでの閲覧に最適化された独自のレイアウトを採用しています。パソコンやスマートフォン、タブレット端末など様々なデバイスに対応し、タッチ操作やクリックによる直感的なページ移動、文字サイズ変更、写真の拡大、関連動画の再生などが可能です。掲載記事は主に朝日新聞の東京、大阪、名古屋、西部の各本社が発行する最終版を基にしています。

サービスの開始当初は紙面のイメージをそのまま閲覧する機能はありませんでしたが、2012年1月23日のasahi.com統合と同時に、全国の地域面（6ブロック）の紙面イメージ閲覧サービスがPC向けに開始されました。その後、主要本社版（東京、大阪、名古屋、西部）や北海道支社版の紙面イメージも順次閲覧可能となり、紙媒体に近い形で記事を読めるようになりました。

2013年 3月5日時点で有料会員数が10万人を超え、1日に3本まで記事を読める無料会員数も99万人に達するなど、多くの利用者を獲得しています。

デジタル時代への対応とメディア戦略

朝日新聞社は、紙媒体とデジタル媒体を組み合わせた「ハイブリッド型メディア」を標榜しており、朝日新聞デジタルはその中核をなす存在として「第2の創刊」と位置づけられました。デジタル版では、従来の報道手法に加え、ウェブの特性を活かしたインタラクティブな表現やビジュアル報道を積極的に試行しています。紙面と連動する記事やウェブ限定企画「朝デジスペシャル」などでは、インフォグラフィクス、動画、スクロールを伴う構成、地図連携、CGなどを活用し、読者の理解を深める工夫が凝らされています。デジタル技術に精通した記者を育成・採用し、取材から表現方法の検討、制作までを社内で行う体制を構築することで、迅速なコンテンツ提供を目指しています。

提供されるサービス

24時刊: 最新の速報ニュースに加え、通信社や関連媒体（日刊スポーツ、CNET Japanなど）の記事も配信。紙面掲載記事の一部も提供し、多くは無料で閲覧できますが、購読契約者のみが全文を読める記事もあります。関連動画やカラー写真も掲載。緊急時にはニュース速報キャプションが表示されます。過去記事の検索機能や、興味のある分野の記事を集める「MY朝日新聞」機能も提供。iPad向けには過去23時間前の1面イメージを見られる「1面タイムマシン」機能もあります。

朝刊: 紙面版朝刊の記事を網羅し、解説や様々なジャンルの記事（政治、経済、国際、スポーツなど）を整理して提供。「天声人語」や社説、読者の投稿欄「声」、地方版なども収録。4コマ漫画「ののちゃん」は紙面イメージで閲覧できます。

be・別冊: 紙面版の夕刊や土曜別刷り「be」、日曜別刷り「朝日新聞GLOBE」、高齢者向けサイト「どらく」などに掲載された、オピニオン、インタビュー、コラム、エッセー、文化、趣味、生活関連の記事などが中心です。夕刊の速報性のあるニュース記事は主に24時刊に掲載されます。4コマ漫画「地球防衛家のヒトビト」は24時刊で閲覧可能です。

&[and] (アンド): 2013年に開始されたデジタルマガジン。エンターテインメント、アート、カルチャー、ファッション、美容、健康、食、旅行といった多様なライフスタイルに関する情報を発信しています。

購読料金プラン

主に以下の5種類の購読コースが用意されています。

プレミアムコース: 月額3,800円。デジタル版の全てのサービスを利用可能。
スタンダードコース: 月額1,980円。プレミアムコースより一部機能が制限される。
ベーシックコース: 月額980円。スタンダードコースよりさらに一部機能が制限される。
ダブルコース: 新聞を定期購読している方が対象。月額の新聞購読料に1,000円（または長期契約で500円）を追加することでデジタル版の多くの機能を利用可能。
紙面ビューアコース: 新聞を定期購読している方が対象。月額の新聞購読料に追加料金なしで、紙面イメージの閲覧が可能（2021年10月1日より）。

かつて提供されていた提携地方紙や日刊スポーツとのセット割引サービスは2023年5月31日で終了しています。無料会員向けに、有料コースを期間限定で試せる「お試しクーポン」も提供されています。

主な沿革

1995年8月：asahi.com開設。
1999年11月：gooへのニュース配信開始。
2011年5月：有料サービス「朝日新聞デジタル」開始。
2012年1月：asahi.comブランドを「朝日新聞デジタル」に統合。地域面紙面イメージ配信開始。
2012年10月：Yahoo!ニュースへのニュース配信開始。
2013年1月：東京本社版紙面イメージ配信開始。
2013年3月：有料会員数10万人突破。
2013年?: デジタルマガジン &[and] 開始。
2014年10月：無料会員向けお試しクーポン導入、有料会員の無料期間変更。
2021年10月：新聞定期購読者向け紙面ビューアー無料化。
2023年5月：提携地方紙等とのセットサービス終了。
2025年1月：名称を「朝日新聞」に変更。