朝顔形埴輪

朝顔形埴輪について

朝顔形埴輪（あさがおがたはにわ）は、日本の古墳時代に作られた埴輪の一種で、特にその形状が特徴的です。この埴輪は、広義の円筒埴輪に分類され、器台の上に壺が立ったデザインを持っています。上部は口縁が大きく、まるで朝顔の花が開いたようにラッパのように広がっているため、その名が付けられています。

歴史と起源

古墳時代の埴輪は、弥生時代後期に吉備地方（現在の岡山県）で行われていた墓前祭祀から派生したものと考えられています。その祖型は特殊器台や特殊壺であり、これらが円筒埴輪や壺形埴輪へと進化を遂げました。朝顔形埴輪はその後、器台と壺が一体化される形で表現されるようになりました。

朝顔形埴輪は、主に4世紀から6世紀にかけて製作されましたが、特にその初期の形状は、壺の胴部が円筒からはみ出した形をしていました。時代が進むにつれ、壺の頸部や胴部は省略され、最終的には口縁部が円筒に直接つながるスタイルへと変化していきました。

形状と特徴

一般的に、朝顔形埴輪の高さは50センチから110センチメートル程度で、円筒部分に3本から7本のタガ状の突帯や、透かし孔が確認されることが特徴です。これらの特徴は円筒埴輪との共通点とも言えるでしょう。

この埴輪は、主に4世紀頃に出現し、以降はさまざまな古墳から見つかることが多くなります。特に奈良県の天理市布留遺跡から出土したものが有名ですが、全国各地の古墳でも見ることができます。地域的には、山形県や岩手県から鹿児島県に至るまで、非常に広範囲に分布しています。

出土例と配置

例えば、三重県の石山古墳では、円筒埴輪の4本または5本につき1本の割合で本物の朝顔形埴輪が配置されていることが確認されています。これにより、古墳の祭祀や埋葬の儀式において、どのような意味が持たれていたのかを考古学的にも探求する興味深い材料となります。

朝顔形埴輪は、その形状や出土する文脈から、古墳時代の人々の信仰や文化、さらには葬送に関連する習慣を解明するための重要な手がかりを提供しています。今後もさらなる研究が期待される分野です。

参考文献

1. 近藤, 義郎、春成, 秀爾「埴輪の起源」『考古学研究』第13巻第3号。
2. 春成, 秀爾、佐原真「朝顔形埴輪」『日本考古学事典』三省堂。
3. 朝霞市博物館『埴輪の世界（市制施行40周年記念・第20回企画展）』

もう一度検索