朝鮮の競馬

日本統治時代の朝鮮における競馬の歴史

日本の植民地支配の下での朝鮮における競馬は、1910年の併合以降1900年代初頭に急速に形を整えていきました。日本が台湾や満州に設けた競馬場に倣い、朝鮮でも1922年に公認競馬が京城（現在のソウル）でスタートしました。この頃から競馬場は増加し、1941年には9つに達しましたが、1945年の日本の敗戦によってすべての競馬活動が停止しました。

前史

近代以前の朝鮮における競馬の記録は希薄で、1898年に学生が行ったロバのレースが初の記録とされています。なかでも1907年には漢江のほとりで騎兵による馬のレースが行われており、しかしこれらは本格的な競馬とは言えないありさまでした。1910年代に入ると、龍山練兵場や東大門などで日本人による競馬が始まり、1918年には漢江江畔で開催された競馬が朝鮮の競馬活動の出発点とされています。

公認競馬の誕生

朝鮮競馬倶楽部の設立は1921年に申請され、翌年に朝鮮総督府により認可されます。同倶楽部は1922年に競馬を開始し、その後、春・秋に馬券が発売されるようになりました。後には平壌、大邱、釜山などにも競馬倶楽部が設立され、各倶楽部は内地の地方競馬に準じたルールで馬券を販売していました。1930年のデータによると、京城の売上が全体の約半分を占めており、競馬の中心地としての地位を確立していました。

競走馬と地方競馬

朝鮮の競走馬には、日本国内産の馬と朝鮮国内産の馬が存在しました。内地産の馬は主に九州のもので、サラブレッド系が多くありましたが、朝鮮産の馬は李王職牧場や民間牧場から生産された雑種や新朝鮮馬でした。特に1931年には済州島産の朝鮮馬36頭が国境競馬倶楽部によって購入されました。また、1932年までは公認競馬の他にも多数の地方競馬が行われ、これらはしばしば祭礼などと同様の形式で行われていました。

朝鮮競馬令の公布

朝鮮の競馬に関しては明確な法的根拠がなかったため、1932年に朝鮮競馬令が発布され、競馬の運営はより厳格に管理されるようになりました。この令では、競馬場の開催回数や馬券の販売に関するルールが明確化され、競走馬の種類にも特別な取り扱いが設けられました。競馬場の統括組織として朝鮮競馬協会も設立され、競馬は着実に発展していきました。

戦時中の競馬

太平洋戦争が始まると朝鮮の競馬業務も縮小を余儀なくされ、1942年には競馬倶楽部が解散され、朝鮮馬事会が設立されました。戦争によって多くの競走馬が軍用に供出され、競馬場は次第に閉鎖されていきました。1945年春には、ソウル、平壌、大邱、釜山の4つの競馬場のみが残りましたが、その後すぐの日本の敗戦によってすべてが終わりを迎えることになりました。

戦後の応急的競馬

敗戦後、朝鮮馬事会は韓国人に経営が移行され、1949年に韓国馬事会と改名されます。しかし、朝鮮戦争によって再び競馬は中断を余儀なくされました。戦後、ソウルの新設洞競馬場で韓国人運営の競馬が復活し、次第に安定し、その後も新たに競馬場が設立されていきました。現在では、韓国には3つの競馬場が存在し、競馬は国民に親しまれるエンターテインメントとして根付いています。

日本統治時代の朝鮮における競馬は、多くの困難を乗り越えながらも、農業社会から近代社会へと歩みを進めたことを示す記録でもあります。

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