朝鮮人民軍総政治局

朝鮮人民軍総政治局について

朝鮮人民軍総政治局（ちょうせんじんみんぐんそうせいじきょく）は、北朝鮮の軍事組織である朝鮮人民軍の中で、特に政治的な活動や思想の監視を担当する重要な機関です。この局は、同軍の将兵に対する宣伝活動や思想的な動向の評価を重視し、軍内部での忠誠心や党性の確認を行っています。総政治局は、軍内の「反革命分子」の取り締まりも行う朝鮮人民軍保衛司令部と連携しており、思想統制に関する強い権限を持っています。

組織の構成と歴史

総政治局は、形式的には朝鮮民主主義人民共和国政府に所属する国防省の機関として位置付けられていますが、実際には国防省よりも大きな権限を持ち、国防相よりも上位の最高指導者が局長として任命されています。このため、総政治局は朝鮮労働党中央委員会組織指導部からの指示を受ける形で、党の方針に基づいた活動を展開しています。

1946年に設立された保安幹部訓練大隊部の創設時には、文化部が設置され、その後1948年2月8日に朝鮮人民軍が正式に創設されると共に、組織再編が行われました。この際も、文化部の実質的な指導者たちは代わりに重要な役割を担いました。1950年の朝鮮戦争時には、民族保衛省内の文化訓練局が総政治局に改編され、初代局長には朴憲永が任命されましたが、その後の粛清で彼は歴史から消えることになりました。

近年では、2017年に韓国の国家情報院が、朝鮮人民軍総政治局が党の意向に反して良くない態度を示したことを問題視し、約20年ぶりに局の検閲が行われたと報告しています。その結果、局長や副局長が処罰を受けたとされています。2018年には、金正覚が新たな総政治局長に就任したことが公表され、組織の変動が続いていることが分かりました。

各部門の役割

総政治局は多様な部門を持ち、それぞれが重要な役割を果たしています。例えば、組織部は軍内の党の方針に基づく人事事業を管理し、宣伝部は人民軍関連の様々な出版物を発行しています。また、文化部門としての役割もあり、映画制作やスポーツ活動を通じた軍隊の士気向上にも貢献しています。

さらに、心理戦を扱う文化連絡部や敵工部は、戦時における敵軍との接触や心理的作戦を担当しており、特に非武装地帯での活動に関与しています。特別政治部では、党の政策を軍内部に徹底させるための施策が企画・運営されていることが特徴的です。

歴代の総政治局長

総政治局には、歴代で多くの総政治局長が存在しています。初代局長は金載郁であり、以降、崔鐘学や金泰根、徐哲、崔基哲などが局長を務め、その役割が軍及び党の運営において重要な影響を持ち続けています。最近では、金秀吉や権英進及び鄭京擇などが後任として名を連ねており、各局長の指導の下、今日の総政治局の活動が行われています。

朝鮮人民軍総政治局は、軍における思想統制と政治活動の中心的役割を担い、北朝鮮の政治構造において重要な地位を占めています。

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