朝鮮放送

韓国ケーブルテレビ局TV朝鮮：その歴史、番組、そして論争

TV朝鮮（朝鮮放送）は、韓国のケーブルテレビ向け総合編成チャンネルです。チャンネル名はTV朝鮮（TV조선）として広く知られています。スローガンは「人そして人」を掲げ、ニュース、ドラマ、バラエティなど多様な番組を放送しています。

設立と政治的背景

TV朝鮮の設立は、韓国のメディア規制緩和という大きな歴史的転換点に深く関わっています。1980年代の全斗煥政権下では、言論統廃合政策により、放送局はKBSとMBCの2局に集約され、大企業や新聞社の放送事業参入は厳しく制限されていました。しかし、2009年の「メディア法改正案」により、その状況は変化し、大企業や新聞社の放送参入が解禁されました。TV朝鮮はこの法改正を受け、朝鮮日報社を母体として2011年に設立されました。 この経緯から、TV朝鮮は当初からその政治的立場や報道姿勢について、様々な議論を呼び起こしてきました。

数々の制裁と放送免許更新問題

TV朝鮮は、放送通信委員会から、誤報や偏向報道などの理由で、2014年から2016年にかけて多数の制裁処分を受けています。2020年の放送免許更新審査では、「放送の公的責任・公正性の実現」項目で基準点を下回り、条件付きで再承認されました。これは、同局の報道姿勢に対する懸念が反映された結果と言えるでしょう。さらに、この審査過程における不正疑惑も浮上し、当時の放送通信委員長が起訴される事態に発展しました。こうした経緯から、TV朝鮮は韓国のメディア界において、常に議論の的となっている存在なのです。

日本との関わり

TV朝鮮は設立当初、中部日本放送が少数株主として出資しており、日本との繋がりを持っています。近年では、自社制作番組の日本へのフォーマット輸出を推進しており、吉本興業やNTTドコモの子会社などとの提携を発表しています。これは、韓国のコンテンツが国際的に展開していく上で、一つの事例と言えるでしょう。

主要番組

TV朝鮮は、ニュース番組を多く放送しています。主な番組には、『テレビ朝鮮 ニュース9』『テレビ朝鮮 ニュース7』『テレビ朝鮮 ニュースパレード』『テレビ朝鮮 ニュース現場』などがあり、これらは視聴率も高く、韓国の社会情勢を反映した内容となっています。また、時事教養番組として『新通放通』『報道本部 ホットライン』『事件ファイル24』『時事ショー 政治だ』といった番組も放送されており、政治や社会問題を取り上げる番組も少なくありません。さらに、バラエティ番組では、『明日はミス・トロット』『明日はミスター・トロット』『明日は国民歌手』といったオーディション番組が人気を博しています。これらは、視聴者の高い関心を集め、大きな話題を呼んでいます。

まとめ

TV朝鮮は、韓国のメディア規制緩和後の変遷を象徴する放送局と言えるでしょう。その設立から現在に至るまで、政治的な影響や、報道姿勢に関する論争、そして放送免許更新問題など、様々な出来事を通して、韓国メディア界の複雑な姿を反映しています。一方で、視聴者の高い関心を集める人気番組も制作しており、韓国のエンターテインメントシーンにも貢献しています。今後、TV朝鮮がどのような方向へと進んでいくのか、注目が集まります。

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