朝鮮民主主義人民共和国のカトリック

北朝鮮におけるカトリックの現状

北朝鮮におけるカトリック信教は、世界で最も厳しい宗教弾圧が行われている状況にいます。この国では、宗教活動に対する抑圧が極めて厳格であり、信者は差別や嫌がらせ、逮捕、拷問、さらには死刑の危険さえも冒さなければなりません。北朝鮮の教育制度では、幼い頃から「宗教は悪である」という反宗教的な思想が植え付けられ、映画や宣伝を通じて、この思想が強調されています。

信者数と信教の自由の状況

カトリック信者の正確な数は不明ですが、2002年の国際連合人権理事会の報告によれば、推定800人いるとされています。しかし、大韓民国や国際的なキリスト教団体は、実際にはもっと多いと考えています。北朝鮮のカトリック信者は、国家が定める「出身成分」のカテゴリーの中で最下層に位置づけられており、信者であることで社会的な差別を受けています。

国家によって承認された宗教活動のみが許可されており、北朝鮮には朝鮮カトリック教協会が存在しますが、それはバチカンとのつながりを持たない組織です。実際のカトリック聖職者は北朝鮮にはおらず、国が管理する長忠大聖堂が平壌に存在するものの、訪れる信者は極めて限られています。教会の集まりは、外国からの援助団体が訪問する際や、特定の外国人の来訪時にのみ行われることが多く、多くの場合、北朝鮮側の参加者は外国人との対話を禁じられています。このような状況から、北朝鮮の宗教施設は、実際には「信教の自由」がないことを隠蔽するための存在とみなされています。

大司教区と司教区の位置づけ

バチカンは北朝鮮を国家として承認しておらず、また南側の韓国の一部としての見解を持っています。そのため、北朝鮮の地域にも韓国カトリック教会の名目上の大司教区や司教区が設置されていますが、現地では実質的な宗教活動は行えません。

ローマ教皇招請計画の試み

1990年以降、北朝鮮の国際的孤立の中で、金日成はローマ教皇を平壌に招く計画を一時検討しました。1991年には、教皇訪問のためのプロジェクトチームが外務省内に設立され、訪問に関する準備が始まりました。しかし、統一戦線部からの協力は得られず、金正日はこの計画に否定的な態度を示しました。最終的には、このプロジェクトは数ヶ月で頓挫してしまいます。解除された計画において、北朝鮮当局は教皇が訪問することでカトリックの影響が広がることを恐れ、その動きを阻止したのです。

まとめ

北朝鮮のカトリック信者たちは、極端な弾圧の中でその信仰を貫こうとしていますが、信教の自由は実質的に存在しません。政府は宗教活動を厳格に制限しており、内外の圧力に屈することなく主体性を守ることが求められています。彼らの信仰のあり方は、厳しい状況の中でも揺るがない意志を持って生きる姿を反映しています。

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