朝鮮民主主義人民共和国国防委員会

朝鮮民主主義人民共和国国防委員会

朝鮮民主主義人民共和国国防委員会（以下、国防委員会）は、旧北朝鮮の国家主権の最高国防指導機関として位置づけられてきました。元々1972年に制定された朝鮮民主主義人民共和国の社会主義憲法に基づいて設立された国防委員会は、当初は中央人民委員会の傘下にありましたが、1990年に独立した機関として改組されました。この変更によって、国防委員会は中央人民委員会よりも上位の機関であることが示され、様々な国家政策において大きな権限を持つことになりました。

国防委員会は、国の防衛に関する全般的な方針を決定し、国家の武力及び国防関連の施策を実施する責任を負っていました。特に、人民武力部や国家安全保衛部などの組織を直接統括していたため、国防委員会は北朝鮮において極めて重要な役割を果たしました。

1994年の金日成の死去後、国防委員会は金正日を通じて強化され、彼はこの機関を拠点として権力を掌握しました。1998年には国防委員会の権限がさらに拡張され、「国家主権の最高軍事指導機関」及び全般的国防管理機関としての位置づけが明確にされました。国防委員会は戦時状態や動員令の宣言、重要な軍事幹部の任免などを行うことが規定され、国防委員長は国家が持つ全ての武力を指揮する立場として名を馳せました。

金日成が死去した後、金正日が国防委員長として強い指導力を発揮しましたが、彼が死去した2011年には、その地位が空席となりました。2012年には金正恩が新しい国防委員会第一委員長に就任し、役職の再編成が行われました。

国防委員会はその後も重要な役割を続けましたが、2016年に最高人民会議で廃止され、新たに朝鮮民主主義人民共和国国務委員会が設立されるに至ります。この新たな機関は、非軍人を含む多様な構成員で構成され、より広範囲にわたる政策決定を行うためのものとなりました。

職権と構成

国防委員会は、最高人民会議に対してその活動の責任を負っており、職権は以下のように定義されていました。

• - 先軍革命路線を実行するため、国家の重要政策を決定する。
• - 全般的な軍事及び国防の指導を行う。
• - 決定や指示を出し、その実行状況を監督する。
• - 国防部門の中央機関の設置や廃止を行う。
• - 軍事階級を設定し、高位の軍事称号を授与する。

国防委員会の構成員は、最高人民会議の選挙によって選出され、その任期は通常五年で再選に制限はありません。重要な歴代の委員長には、金日成と金正日が挙げられ、後に金正恩がその役割を引き継ぎました。

国防委員会の機能や役割は、時代と共に変遷してきたものの、北朝鮮の核政策などに深く関与し続ける重要な機関でした。国家の最高指導者がその権限を国防委員会を介して行使してきた経緯は、国の政策形成において本機関が果たした役割を強く反映しています。さらに、朝鮮経済や外交関係の進展においても、国防委員会の決定が重要な影響を及ぼしてきました。

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