朝鮮民主主義人民共和国憲法

朝鮮民主主義人民共和国憲法（1948年）

朝鮮民主主義人民共和国憲法は、1948年9月8日に制定された、北朝鮮の最初の憲法です。この憲法は、第二次世界大戦後の朝鮮半島の複雑な政治状況の中で生まれました。

制定の背景

1945年の第二次世界大戦終結後、朝鮮半島は日本の統治から解放されましたが、アメリカとソ連によって分割占領されることになりました。1948年8月には南部に大韓民国が建国され、半島は分断。北朝鮮では、ソ連の支援のもと、金日成を首班とする社会主義政権が樹立されました。

金日成は、ソ連のヨシフ・スターリンの指導の下、当時のソ連のスターリン憲法を参考に、北朝鮮の実情に合わせた憲法を制定することにしました。スターリン憲法は、民主主義の発展と国民の権利擁護を謳っており、西側先進国の民主主義的な手法や人権制度を取り入れつつ、ソ連型社会主義体制に適用することを目指していました。1948年憲法も、この点を重視して起草されました。

憲法の構成と内容

1948年憲法では、以下の機関が設置されました。

立法機関：最高人民会議、最高人民会議常任委員会
行政機関：内閣
司法機関：最高裁判所

また、土地改革や重要産業の国有化など、社会主義的な経済政策が明記されました。

憲法制定までの経緯

1947年11月18日：憲法制定委員会が組織
1948年2月7日：北朝鮮人民会議第4回会議で「憲法草案」の討議実施を決定
1948年4月25日：北朝鮮人民会議で「憲法草案」に関する討議
1948年4月29日：北朝鮮人民会議特別会議で「憲法草案」を満場一致で採択
1948年7月9日：北朝鮮人民会議第5回会議で「憲法実施について」を採択
1948年8月10日：中央選挙委員会を結成
1948年8月25日：最高人民会議代議員選挙を実施
1948年9月8日：最高人民会議第1期第1回会議で憲法を制定
1948年9月9日：建国宣言、憲法施行

その後の改正と社会主義憲法への移行

1954年から1962年にかけて、1948年憲法は一部改正されました。しかし、金日成による権力集中と主体思想の確立が進むにつれて、憲法もその影響を受けることになります。1972年12月27日には、主体思想を絶対的な指導指針とする、より中央集権的で共産主義的な朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法が制定され、1948年憲法は全面的に改正されました。

外部リンク

北朝鮮WEB六法 - ウェイバックマシン - 朝鮮民主主義人民共和国の各年度の憲法（全文の日本語訳）などが掲載されています。
朝鮮民主主義人民共和国憲法 - ウェイバックマシン

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