朝鮮民族美術館

朝鮮民族美術館は、1924年（大正13年）に浅川巧、浅川伯教兄弟、そして民藝運動で知られる柳宗悦らによって、当時の京城（現在のソウル）の景福宮内に設立された、朝鮮半島の工芸品を展示する美術館です。

この美術館の設立は、それまで美術的な価値を顧みられることのなかった李氏朝鮮時代の民衆工芸に光を当てる画期的な出来事でした。芸術家ではなく、無名の職人によって作られた日用品や工芸品は、それまで美の対象として認識されていませんでした。柳宗悦らは、これらの品々に潜む美しさをいち早く見抜き、その価値を高く評価しました。彼らは、民衆の生活に深く根ざしたこれらの工芸品の中に、純粋で力強い美の姿があると考えました。

柳宗悦は、単に美を愛でるだけでなく、日本の朝鮮政策に対しても批判的な立場を取りました。彼は、朝鮮の文化や芸術を尊重し、その価値を広く知らしめるために、この美術館の設立に尽力しました。

朝鮮民族美術館のコレクションは、陶磁器、木工品、漆器、織物など、多岐にわたります。これらの品々は、当時の人々の生活や文化を映し出す貴重な資料であり、その美しさは今日においても多くの人々を魅了しています。

現在、朝鮮民族美術館のコレクションは、韓国政府によって継承され、韓国国立民俗博物館として運営されています。この博物館は、朝鮮半島の歴史と文化を理解するための重要な施設として、国内外から多くの来館者が訪れています。

関連文献として、浅川巧の業績をまとめた『浅川巧全集』や『浅川巧　日記と書簡』、朝鮮民芸に関する論考を集めた『朝鮮民芸論集』、浅川兄弟を回顧した『回想の浅川兄弟』、柳宗悦の朝鮮に対する思想を分析した『柳宗悦と朝鮮　自由と芸術への献身』、柳宗悦の著作をまとめた『朝鮮とその藝術　柳宗悦全集 著作篇 第6巻』、柳宗悦の美意識に焦点を当てた『朝鮮の美 沖縄の美　柳宗悦セレクション』などがあります。

関連項目としては、朝鮮美術、韓国学、韓国国立中央博物館などが挙げられます。

脚注として、美術館設立に関する記事や関連資料が多数存在します。

朝鮮民族美術館は、その設立から今日に至るまで、朝鮮半島の美と文化を伝える上で重要な役割を果たしてきました。その歴史的意義と美学的価値は、今後も多くの人々に語り継がれていくでしょう。

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