朝鮮総督府裁判所

朝鮮総督府裁判所

朝鮮総督府裁判所は、日本統治時代における朝鮮半島に存在した裁判所です。本記事では、その成立の背景から、裁判所の機構、終戦までの変遷について解説します。

沿革

開国後の朝鮮（韓国）では、外国人が自国民を裁く領事裁判制度が存在し、日本人もその対象でした。1905年の第二次日韓協約により大韓帝国が保護国化されると、領事館は廃止され、理事庁が開設。1906年には、日本人に対する領事裁判の上訴を扱う機関として、統監府法務院が京城に設置されました。

韓国人に対する裁判・司法行政は大韓帝国法部が行っていましたが、保護国化の下で日本人次官・司法官が任用され、司法制度が構築されていきました。1908年には、韓国の裁判所として大審院（京城）、控訴院（3ヶ所）、地方裁判所（8ヶ所）、区裁判所（7ヶ所）が編成されました。

1909年、大韓帝国の司法・監獄事務が日本に委任されると、韓国における裁判は日本人・韓国人を同一機関で扱うことになりました。同年、韓国法部・統監府法務院が廃止され、韓国の裁判所・監獄を統括する機関として統監府司法庁が設置されました。同時に統監府裁判所令が施行され、「統監に直属し韓国における民事刑事の裁判及び非訟事件に関する事務を掌る」裁判所として統監府裁判所が設置されました。統監府裁判所は、高等法院・控訴院・地方裁判所・区裁判所に区分されました。

1910年の韓国併合により朝鮮総督府が開庁すると、統監府裁判所令は朝鮮総督府裁判所令に改められ、統監府裁判所は朝鮮総督府裁判所となりました。司法庁は総督府の内部部局となり、朝鮮総督府司法部となりました。朝鮮総督府裁判所に所属する判検事は、朝鮮総督府判事、朝鮮総督府検事と称し、日本内地の判検事と区別されました。

1912年には、総督府裁判所として高等法院・覆審法院・地方法院が設けられ、朝鮮民事令が制定されました。その後、機構に大きな改編のないまま終戦を迎えます。

機構

1912年3月18日の改正以降、機構に大きな変更はありませんでした。

高等法院（京城）
覆審法院 - 京城・平壌・大邱
地方法院 - 京城・大田・咸興・清津・平壌・新義州・海州・大邱・釜山・光州・全州
地方法院支庁
地方法院出張所

検事は、裁判所検事局に所属しました。これは、当時の日本内地と同様です。

高等法院検事局
覆審法院検事局
地方法院検事局
地方法院支庁検事分局

歴代長官

統監府法務院長
高等法院長
高等法院検事長

参考文献

朝鮮総督府編『施政三十年史』（朝鮮総督府、1940年）
朝鮮総督府編『朝鮮事情　昭和十七年度版』（朝鮮総督府、1941年）
* 戦前期官僚制研究会編『戦前期日本官僚制の制度・組織・人事』（東京大学出版会、1981年）

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