朝鮮総督府鉄道デロイ形電気機関車

朝鮮総督府鉄道デロイ形電気機関車

概要

朝鮮総督府鉄道向けに製造されたデロイ形電気機関車は、東京芝浦電気によって1930年代に開発された、東洋初の直流3000Vで動作する電気機関車です。この機関車は京元・咸鏡線の急勾配路線で使用されることを目的として設計されました。1943年に最初のデロイ1号機が完成し、1944年には運行を開始しました。重い貨物列車を牽引するために設計されたため、大きな牽引力を発揮し、当初は勾配区間での牽引力を重視した機械として完成しました。

登場の背景

1937年、日中戦争の勃発に伴い、朝鮮半島の鉄道は中国との物流を強化する必要がありました。この背景を受けて、朝鮮総督府鉄道は輸送量の増加に対応するため、電化と新型機関車の導入を進めることとなりました。特に福渓駅から高山駅間は、連続する25‰の勾配と多数のトンネルがあり、蒸気機関車では運行が難しくなっていました。蒸気機関車が冬季に蒸気が上がらないことから致命的な運行停止が発生するなどの問題も抱えていたため、電化による安定運行が求められました。

デロイの設計

デロイという名称は、電気機関車を意味する「デ」、動力軸6軸の「ロ」、形を示す「イ」を組み合わせたものです。最大牽引力は32,400tという当時東洋最大級の性能で、動輪の配置は1C-C1であり、一体化した全溶接車体を持っていました。これにより、他の同時代の機関車と比較しても大きなボディサイズを誇りました。通常の空気ブレーキに加え電力回生ブレーキが搭載されており、特に勾配運行時の安全性向上に寄与しました。

製造と運用

デロイ1号機は1943年に釜山港へ揚陸され、その後、京城駅での披露が行われました。電化工事の遅れがありながらも、1944年には福渓・高山間の運行が開始されました。デロイ形ともう一つのデロニ形は、互いに類似した性能を有していて、前者は高圧で駆動するのに対し、後者は低圧で駆動しました。そのため、電気機器の据え付け方法に違いが見られます。

戦後の展開

終戦後もデロイ形は活躍を続け、韓国に輸出されたことで国内でも使用されました。特に1946年から1948年にかけて韓国向けに出荷され、製造段階での資材不足から戦時設計が適用されたことも注目されています。輸出後、この機関車の運命は北朝鮮に引き継がれ、一部の車両は現在も稼働している可能性がありますが、その詳細は不明です。

結論

デロイ形電気機関車は、朝鮮半島の鉄道史において重要な存在です。特殊な電気方式、勾配対応の設計、そして戦後の国際的な影響を与えたことから、今なお注目され続けている機関車です。今後もその歴史と技術に注目していく必要があります。

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