朝鮮総督府鉄道局

朝鮮総督府鉄道局：朝鮮の鉄道を統括した官庁

朝鮮総督府鉄道局は、日本統治時代の朝鮮において、鉄道事業の中核を担った官庁です。国有鉄道の管理運営をはじめ、私設鉄道や軌道の監督、陸運に関する事務まで、幅広い役割を果たしました。本稿では、その設立から変遷、組織機構、関連施設、そして局友会について解説します。

沿革：設立から廃止まで

1910年10月1日、朝鮮総督府の所属官署として鉄道局が誕生しました。しかし、1917年には国有鉄道の経営が南満洲鉄道（満鉄）に委託されたことで、鉄道局官制は一旦廃止され、総督官房に鉄道局が置かれることになります。その後、1919年の官制改正により鉄道部は鉄道局に改められましたが、1925年に満鉄への委託運営が解除されると、総督府直営となり、再び外局として朝鮮総督府鉄道局が新設されました。

しかし、1943年の官制改正により鉄道局は廃止され、新たに交通局が設置されることになりました。

機構：中央から地方まで

1939年時点の資料によれば、鉄道局は中央に本局を構え、地方には地方鉄道局、鉄道事務所、出張所などを配置していました。本局には、庶務課、調査課、監督課、営業課、運輸課、建設課、保線課、改良課、工作課、電気課、経理課といった部署が置かれ、鉄道に関する多岐にわたる業務を遂行していました。また、鉄道従事員の養成所も設けられ、人材育成にも力を入れていました。

地方には、京城、釜山、咸興に地方鉄道局が、釜山、大田、京城、平壌、順天、元山、城津に鉄道事務所が設置され、それぞれの地域における鉄道運営を担っていました。これらの事務所には、庶務係、営業係、運輸係、工務係、経理係などが置かれ、地域の実情に合わせた業務を行っていました。

関連施設：鉄道病院から工場まで

鉄道局は、鉄道運営に必要な様々な施設を管理していました。駅、信号場、信号所はもちろんのこと、列車区、機関区、検車区、保線区、電気区、建築区、工事区、自動車区などが各地に配置されていました。また、鉄道診療所も設置され、鉄道従事員の健康管理に貢献していました。

さらに、鉄道の車両や施設を整備するための工場も、釜山、京城、清津に設けられていました。これらの工場では、車両の修理や改造、部品の製造などが行われ、鉄道の安全運行を支えていました。

特筆すべきは、京城と釜山に設置された鉄道病院です。京城鉄道病院は、龍山同仁病院を前身とし、1984年から2011年までは中央大学校附属龍山病院として運営されていました。一方、釜山鉄道病院は、草梁鐵道医務室を起源とし、後に釜山交通病院となりました。

局友会：鉄道局職員の自治組織

朝鮮総督府鉄道局局友会は、鉄道局（後の交通局）の職員のための自治組織として存在しました。局友の慰安を目的とし、京城府に会館を経営していました。この会館は映画館としても機能し、機関紙『局友』の編集発行も行っていました。


朝鮮総督府鉄道局は、日本の統治下において、朝鮮の鉄道網を整備し、運営を担った重要な機関でした。その組織や施設は、当時の社会や経済に大きな影響を与え、現在にもその痕跡を残しています。

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