木場貞長

木場貞長：近代日本の教育制度確立に貢献した官僚・法学者

木場貞長（こば さだたけ、1859年9月28日 - 1944年6月3日）は、明治時代から昭和初期にかけて日本の教育行政を支えた官僚であり、法学者です。正三位勲一等、法学博士の学位を持ち、文部次官、行政裁判所評定官、貴族院議員などの要職を歴任しました。

生涯

薩摩藩士の家に生まれた木場貞長は、東京大学を卒業後、文部省に入省。伊藤博文政府団の一員としてドイツに留学し、ハイデルベルク大学で心理学、法学、政治学を修めました。この留学経験が大日本帝国憲法作成に貢献したとされています。

帰国後は、文部大臣の森有礼のもとで文部参事官として、近代国家としての教育制度の確立に尽力。高等教育会議、臨時教育会議の委員も務め、教育行政、学制改革に深く関わりました。明治32年（1899年）には慶應義塾大学部政治科教授に就任し、政治学・比較憲法を担当しました。

明治39年（1906年）には錦鶏間祗候となりますが、大正2年（1913年）に行政裁判所評定官に任ぜられたことで一旦消滅。大正12年（1923年）に再び錦鶏間祗候となっています。

昭和19年（1944年）6月3日、86歳で生涯を閉じました。

家族

父の清生は西郷隆盛の親友でした。妻は新宮涼介の次女・小百合。長男の貞一郎以下、貞二、清子（梅津美治郎の妻）、貞三、貞四郎、木場貞寿、貞博、満佐子の8人の子供に恵まれました。

栄典

木場貞長は、その功績により数々の栄典を授与されています。

1893年（明治26年）9月30日 - 正五位
1897年（明治30年）5月31日 - 従四位
1922年（大正11年）8月10日 - 正三位
1904年（明治37年）12月27日 - 勲三等瑞宝章
1906年（明治39年）4月1日 - 勲二等瑞宝章
1915年（大正4年）11月10日 - 大礼記念章
1916年（大正5年）4月1日 - 旭日重光章
1922年（大正11年）3月29日 - 勲一等瑞宝章
1938年（昭和13年）2月11日 - 金杯一個
1940年（昭和15年）8月15日 - 紀元二千六百年祝典記念章

著作

木場貞長は、教育に関する著作も多く残しています。特に、文部大臣であった森有礼に関する記述が多く、近代教育の黎明期における森の功績を後世に伝える役割を果たしました。

『日本独逸 合級小学校』 木場貞長、1888年4月
『教育行政』 金港堂書籍、1902年1月
『明治神宮意義ある参拝』 博文館、1922年6月
「故子爵森有礼君に就て」
「森有礼子」
「森文部大臣の改革 : 明治教育の新紀元」
「森有礼先生を偲びて」
「学校時代の思ひ出（その十） : 森文相の秘書官となるまで」
「明治教育界の思ひ出」
「文部次官時代の回顧」
* 「「帝国大学令」制定に関する木場貞長氏の手記」

また、藤原鎌足を祖とする『木場家系図』も残しています。

まとめ

木場貞長は、激動の時代に日本の教育制度の基礎を築き、近代化を推進した功労者の一人です。彼の業績は、日本の教育史に深く刻まれています。

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